1話 俺は詐欺師。異世界でも!?
第1章 綺麗な心の持ち主
第1話 俺は詐欺師。異世界でも!?
そう思い始めたのは12歳の頃
綺麗な湖に捨てられている1つの紙切れのように、気づかなくてもいい、気づかないほうがいいのかもしれない、そんなかすかな疑問だった。
どこで歯車がずれたのか、神様のイタズラなのか、目から汚い雫がこぼれ落ちる。
周りからは笑い声。
あぁ、そうかこういう運命だったのか。
俺は小学6年生になった時、急にいじめられ始めた。
そんなに目立つ人間ではなかったはず。
いつも中心にいる人の横についてるような、
花を咲かす土のような、そんな立ち位置のはずが、気づけばいじめられるというありきたりな立ち位置に変わっていた。
原因なんてどうでもいい。
今までの友達は?
あの時にかけてくれた言葉は?
偽りの言葉、気持ち、関係だったのか?
いや、逆に自分がアホだったのかもしれない
自分のことですら全てわかるわけでもないのに他人なんて何一つわかるわけがなかったのだ。
ならこうしよう。
"嘘"を自分につき続けようと。
俺は21歳、名前は正和 心、
職業は詐欺師。
詐欺師ってなにかって?
人の心を金にする職業だ。
良いように言うなって?
じゃあ、汚い職業とだけ言っておこうか。
毎日楽しくもなく充実もしていないが金には困らない。
意外と稼げるんだよな。
「死にてぇなぁ、、、。」
1日に5回は口に出してしまう。
「死にたいんですか?」
‼︎
誰だこいつ。
ってかなんていうか、天使?
そう思えるほど綺麗な女性がこの先の暗く汚い俺の人生に光をさしてくれるとはこの時は思わなかった。
「あの、死にたいんですか?」
「あ、いや、疲れてるだけなんで大丈夫です」
「綺麗な心をお持ちの方なのですね」
「え?」
「ではまた。」
なんだったんだあいつ。
綺麗な心って、俺の何を知ってるのか詐欺師だぞこちとら。
まあでも、こんな深夜2時のコンビニであんな美人と会話できたのならいいか。
エロ本でも買って帰るか。
ガチャ。
あれ、鍵開けっぱなしで家出たっけ?
用心用心、最近気が抜けてるな〜
‼︎‼︎
「まぶしっ、、」
ここどこだ?
家に帰ってきたはず。なんでこんな異世界みたいな、って、異世界なのか?
まてよ、携帯はどうかな?
圏外か。
ピロン
え、なんでメール届くんだよ。
えーと、宛名は
《私です》
いや誰だよ。
『今びっくりしてるかな?
ここは君にとって居心地のいい世界だと思う
簡単に説明だけしとくね!
1.ここは異世界だよ!
2.右上を見てみると色々見れるよ!
3.この世界のどこかにいるセイコという人を探すこと、謎がわかるかもね!
最後に、「綺麗な心を失わないように」
返信待ってるね〜♪』
返信って圏外じゃねーかよ。
ってか説明不足すぎるだろ!!!
「綺麗な心ねぇ、、。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
右上ってこの変なちょぼマークのことか?
「おぉ!」
ステータスって(笑)
職業:冒険者
レベル:1
HP:40
SP:20
筋力:10
敏捷:14
運:100
知能:2500
固定スキル
駆け引き:レベル1
魔法:???
知能2500!?
なんかのバグか?って、2500が高いのかどうかはわからないけど。
こういうのってチートステータスだったりすると思ったのに固定スキルは1つでしかも
駆け引きってなんだよ。
魔法は使えないのかな?
ガサッ!!
ん?なんだ?
スライム:レベル1
異世界初のモンスター!
スライムって実際見てみると気持ち悪りぃな
物理攻撃って通用するのか?
ってか!!
モンスターいるなんてメールに書いてなかったし、武器も何もないってひどすぎるだろ!
『駆け引き』
!!!!!
「なるほどねぇ」
一瞬のことだった。
スライムの目の前にいたはずの一人の男が視界から消え、スライムの弱点である中心部に存在する核を拳で破壊した。
『レベルアップ!』
レベル:2
HP:45
SP:25
筋力:16
敏捷:30
運:100
知能2500
固定スキル
駆け引き:レベル2
魔法???
敏捷が一気に16も上がったのか。
『駆け引き』か、なかなか面白いじゃないか。
ん?なぜスライムの弱点である核がわかったんだ?
『知能:2500』まさか、相手の弱点がわかったのはこのわけのわからない数値のおかげなのか?
まあどちらにしろラッキーだな。
なんか異世界なのに馴染んでるなあ、、。
「きゃー!!助けて!!!」
ん?あの森の方から悲鳴が聞こえる。
固定スキル『駆け引き』発動!
『体力の消費を2倍にし移動速度を上げる』
「すげぇ、、、」
いつもの10倍くらい、いやそれ以上に速い。
『駆け引き』レベル2になり、追加された効果
『何かを引き換えに何かを得る』
使い方によってはかなり使えるぞ。
‼︎‼︎
なんだあのでかいモンスターは!
キングゴブリン:レベル35
今の俺で倒せるのか?
って考えてる暇はねぇか。
女の子一人助けられずに死んじまったら
クズ人間で終わっちまうな。
弱点は後頭部、『知能2500』のおかげで
弱点がわかるのは便利だけど。
試してみるか。
『一時的に知能を1500まで下げ
筋力、敏捷の能力を上昇させる。』
と、もう一つ。
『駆け引き』レベル1の効果。
『目線誘導』
効果:自分が向いた方向に相手の目線が一瞬強制的に向いてしまう。
「おいバケモン!こっちだ!!」
「グギャァァァ!!」
「行くぜ、駆け引きを始めようか。」
キングゴブリンに襲われていた少女は目の前でなにが起きているかわからなかった。
ただ一つわかるのが、さっきまで自分を襲ってきていたキングゴブリンが目の前に倒れていること。
「大丈夫?」
「あ、はい、助けていただきありがとうございます!あなたは一体...?」
「俺は通りすがりの詐欺師だよ。」
と言い残し俺はその場を去った。
ってかあの子可愛かったなあ。
そーいえば、ステータス確認っと。
レベル:15
HP:400
SP:150
筋力:400
敏捷:700
運:100
知能:2700
固定スキル
『駆け引き』レベル2
魔法
???
能力が上がり過ぎじゃないか?
まさか、『駆け引き』で使った能力の数値が上がっているのか?
わからないことだらけだな。
とりあえずは、村か、町か、なんでもいいから人がいる場所を目指すか。