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ホラーゲームの世界を基本物理で突破します  作者: 秋月椛
最終章 更科実成の怪談
49/53

世界の怪 1

『さぁ、もう一度【初めから】を始めよう』


その言葉と共に足元が崩れ、私は闇の中に放り出された。


あーあ。これで終わりかぁ…。


落ちた時に感じたのは、そんな脱力した思いだった。

悔しさも恐怖も感じないのは、現実味がないからか、諦められたからなのか、それとも、これが死ではないと知っているからか。


ふと、落ちていく時に一冊のノートが目に入った。

数学のノートだ。恐らくぶちまけた鞄の中身も一緒に落ちたのだろう。

それが落下の衝撃でパラパラとページが捲れていた。


「これ…」


その中で一ページだけ、ぎっちりと書かれた箇所を見つけた。

手を伸ばして、それを手に取る。訳の分からない英単語や数字が所狭しに描き殴られている。

それでも、それが数式でないことくらいミナにも分かる。


「これって…」


この世界はゲームの世界だ。なら、この無秩序に見える記号の羅列が意味するものは─…。


今、この世界はきっと作り替えられている途中だなのだろう。真っ暗な世界は、【初めから】の舞台である学校へと作り変わる。

だけどまだ、書き換わっていない。


「……………」


ミナはプログラミングなんてまるっきり分からない。書き換えるなんてこともしたことが無い。そもそもミナはプロのハッカーとか天才少女とかではないのだ。普通の高校二年生の女の子なのだ。


それでもミナはこの世界の主人公だ。そしていつだって、世界は主人公の為にある。


「世界!!」


持っていたノートを上へと放り投げる。


「書き換えろ!!!」


それが正しく世界を書き換えるのか、そもそも書き直す為の記号なのか、そんなの分からない。

それでもミナはこれが世界を変えるものだと信じた。

何万何千と繰り返した世界の中で手に入れたこの手掛かりは、きっと、何万何千と繰り返したミナが残して、今この時まで繋いだものだ。

だからミナは信じた。自分ではない自分のことを。


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