白く舞うモノの怪
口裂け女を退治…、と言うより、口裂け女と対峙した後、ミナはくだらない茶番に付き合ってしまったと直ぐに踵を返して家路に着いた。
ミナの家は普通に民家の中にあるが、学校は山の中でもないのに何故か緑の深い場所にある。なのでしばらくは、アスファルトの地面に対して周りの景色は森か?と言うほど緑の多い一本道が続く。
その中でふと、ミナの視界に白いものが入り込んだ。
「……ビニール袋か」
ユラユラと揺れているように見えるそれは枝に引っかかったビニール袋だろうとミナは結論づけて早足にその場を通り過ぎた。
それから何度か白いものが視界の端にチラついたが、ゴミ飛ばしすぎだろ。としか思わず、何事もなくミナは一本道を通り過ぎた。
ちなみにゲームで、このシーンは【くねくね】という怪異が出てくるシーンである。
【くねくね】
田んぼや川向こうなどに見えるくねくね動く怪異。その正体を知ると精神に異常をきたす。
この白いものを発見したミナに、強制的に『通り過ぎる』と『よく見る』の選択肢が出てくる。後者を選択すると、プレイヤーの操作を受け付けなくなり画面は徐々にブラックアウトする。要するに発狂して死ぬのだ。
しかしミナは、くねくねをくねくねだと認識せず、ビニール袋だと思い込んだため発狂せずにすんだ。これでミナがあの動くものの存在を認知していたら、例え『よく見る』ことをせずに『通り過ぎる』選択をしても意味をなさなかっただろう。
何故ならこの世界はゲームの世界であり、最早ゲームの世界ではないからだ。
くねくねの怪 了




