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「俺の本気の魔法は1万円以上だ!」  作者: 四季猫
1章「平穏な日々は唐突に終わることがある」
3/4

お使いに行ったら、小遣い貰って自称魔王と遭遇した。

 本日、日曜日。空は快晴。天候を操るほどの者が、気象魔法を暴発しなければ本日ずっと快晴である。

 日曜日といえば、朝のヒーロータイム、魔法少女タイム、真・超獣魔機王凱ちょうじゅうまきおうがい。昼には…特に面白いものはやってない。夕方になれば長者アニメで明日を憂鬱に浸り、魔界戦士ベルヴェトグランで明日を切り開く日曜日。

 後は父が遊びに来る日だ。


「ちょっと〜!蓮〜!スーパーまで行ってお茶請けのお菓子とか買って来てくれる〜!?」


 王馬母は今、家を掃除中の様で、家の奥から反響した声が聞こえる。おそらくお風呂場を掃除しているのだろう。


「今ヒーロータイムだから無理〜!」


「余ったお釣りはお小遣いにしていいからお願い〜!」


「なんだと?いや、騙されないぞ、きっと前みたいに5百円ぐらいしか残らないはず…やっぱ無理〜!」


 すると王馬母がリビングにやって来て、王馬に裕吉さん(1万円)3人渡してきた。


「煎餅と饅頭とケーキと後は適当に飲み物買ってきて。余った分はお小遣いよ」


 王馬母の要望の品では裕吉さん1人で充分のはずだと思い、王馬は母に尋ねた。


「これ、かなり余るんだけど…」


「そう?まぁ良いんじゃないかしら?」


「本当に?」


「ヒーロータイムの邪魔をしたお詫びと思いなさい」


「…おっけ分かった。じゃ、行ってくる」


 王馬は買い物に行く為、一度部屋に戻り着替えようとリビングから出ようとすると王馬母が呼び止めた。


「そうそう、昨日も話したけど、今日、お父さんのお客さんが来るから身嗜(みだし)みはしっかりね?」


「りょ〜か〜い」


 手を軽く上げ、ヒラヒラ振って部屋に向かう。ちょっと着飾ってスーパーに出掛けた。






 スーパーでは問題無く目標対象を確保し、財布の中にある余った裕吉さんを見て考えていた。


(お袋はこの前の事を気にしてんのかな…ん〜…無駄遣いは止めとくか。親父が帰ってくる前に帰ろう)


 王馬はスーパーから出て家に帰宅しようとする。


「そこの凄まじい魔力のお主、待つんじゃ」


 王馬は後ろから聞こえた声に反応して振り向いた。一応、世界一の魔力保持者として自覚があるからだ。

 そこにいたのはロシアの人が着ていそうな服…「マフ」という防寒着だったろうか。寒い季節でもないのに変な奴と王馬は思った。


「ん?俺?」


「そうじゃ、そうじゃ。して…お主の名は王馬蓮で良いか?」


「そうだけど…どちらさん?」


 顔をよく見て観察する。西洋人っぽい顔立ちに金髪の長い髪。少し赤みがある瞳。年齢は中学生のように見えるけど、言葉遣いがなんか変だ。


「うむ、現世でのワシの名はスパーヴィラ・アンセムユ。じゃが、前世での名は魔王リーゼンフィーゼである…しかし、こうして見るとなんとまぁ…」


「…えーと?スパーブラさん?魔王?リーゼントロフィーさん?どっちなんだ?」


 両手を腰に当て慎ましい胸を張る多分中学生の女の子に戸惑って聞き返す王馬。


「スパーヴィラ!リーゼンフィーゼじゃ!まぁ、2つも名があるのはややこしいので、現世の名のスパーヴィラでよいぞ?」


「あ、はい」


(これはアレか?ゲームや漫画の世界の真似をする…厨二病ってやつか!?)


 厄介な子に絡まれたと判断し、すぐに行動に移る。


「あ!俺、急いで帰らないとだった!ほら、コレを早く家に持って帰らないといけないからな!という事でそれじゃ!」


 片手で持っている荷物をアピールし、後ろに下がりつつ距離を取る。

 自称魔王のスパーヴィラが少し慌てて距離を詰め寄る。


「こ、こら!待て待て待て!ワシはお主に用があるんじゃ!」


「すまん、俺は仮面魔導師ロストライトと新鮮魔法少女ピュアと真・超獣魔機王凱ちょうじゅうまきおうがいと魔界戦士ベルヴェトグランしか詳しく知らないんだ!魔王はすまん、分からない!」


「たわけ!仮面魔導師とか魔法少女とか身長重巻き?とか魔界戦士とかどうでもよい!お主!前世は記憶とか、魔王であったとかではないのか!?」


「いやいや前世なんて分かる訳ないじゃないか!分かるのは、生粋(きっすい)純正の正真正銘で天上天下、唯我独尊からの唯一無二と万夫不当な天地無用の万年金欠の日本人だ!」


「無駄に長いし、ほぼ意味が合っとらんわ!最後の方が1番納得出来そうじゃ!」


「色々セリフをミックスしてしまった。なんかテンションが上がってきた!これが厨二病か!?あと何気に酷いなお前!?」


「とりあえず落ち着け?まずは落ち着け?いいから落ち着け?」


 王馬とスパーヴィラはお互いに深呼吸し気持ちを落ち着かせる。気を取り直してスパーヴィラが軽く咳払いする。


「一応、さっき名乗ったが、改めてもう一度言おう。ワシの名はスパーヴィラ・アンセムユじゃ。そして、お主の父親と訳あって知り合いじゃ」


「え?親父の知り合い?…なんだよ、それを先に言ってくれたら逃げようとしなかったのに」


「お主がワシの名を言い間違えるから悪いのじゃ。説明しようとしたら、後ずさりするしのぅ」


「野生の本能と綿密な計算が生み出した失いそうな光の道標を求めたんだ」


「まだ落ち着かんのか?とにかく、一旦、お主の家に向かうぞ」


「わかっ…て親父はどこにいるんだ?」


「ちょっとした都合での、別々に行動しとる。おそらく先に家にいるんじゃないかのう?」


「ちと待て」と言い、スパーヴィラは着ているマフのボタンを外して少しずらして脱いで、目を閉じ、魔法詠唱を小声で唱えた。魔法による念話である。

 そしてスパーヴィラの服を脱ぐ行動に王馬は少しドキドキしたのであった。


「……うむ、ボンクラは家に着いておるそうじゃ。お主とも一緒にいると伝えたので、一緒に訪ねて来て欲しいそうじゃ」


「へ、へぇ〜?そうなんだ?」


「ん?なんじゃ?なにか気になる事でもあるのか?」


 そう言いながらスパーヴィラはマフを着直す。


(言うべきが!?なんでそんな暑苦しいコート着けているのかって。だが、それを聞いたら、なんか深読みされそうで聞けない!)


 スパーヴィラは「まぁ、よいか」と言って、悩んでる王馬を気にせず歩いて行く。


「ほら、さっさと参るぞ!しっかりせんか!」


「は?…あ、うん、分かった」


 気の抜けた返事をし、スパーヴィラと一緒に自宅に帰宅するのであった。


読んで下さってありがとうございます。

誤字脱字、文章の指摘がありましたら、お願いします。


ちなみに王馬蓮の知っている番組はパロディです。

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