ナレーション魔法(仮)
短編のつもりだったのですが、ちょっと文章多くなりそうなので、分ける為に連載にしました。
【魔法という概念が確立した現代。全人類が魔法を駆使して生きるこの世界で、生まれ持って強大な魔力を保持する者は、魔法管理局の監視の中でしか生きる事しか許されない。そこに1人の少年がいた。圧倒的な魔力を持ちながらも魔法管理局の目を欺き、自由に暮らしている。これはそんな少年の気ままなのものがた〈ブツン〉】
「あ…」
少年少女がいた場所からガラリと風景が変わり、小さな公園に2人は立っていた。
「んで?そんな変な魔法を使って何がしたかったの?」
「いや、俺のこれからの物語を説明しようとだな…」
「はぁ…」
少女は頭を抱えながら溜め息をついた。その仕草を見た少年はムッと顔をしかめる。
「王馬が世界で1番魔力保持があるってのはわかるよ?知らない人は小学低学年以下ぐらいじゃない?」
その言葉に少年、王馬蓮はドヤ顔した。
「けどね、世界で1番魔力の効率変換が、超絶、檄ヤバ、破滅級、絶望的、神業並のド超!下手じゃん。そのせいであっという間に魔力切れじゃん」
「ぐっ!人が気にしてる事をヅケヅケと…お前には人の心というのが無いのか!?」
「馬鹿に付き合ってあげてるぐらいにはあるわよ」
「嘘だ〜。お前の友達は、みんな頭良いじゃん」
「…まぁ、友達みんな頭が良いわけじゃないけど、ただ1人、ほんっ…とうに物凄い馬鹿がいるわね」
「マジか?よくそんな奴と友達でいるな」
「本当にもうどうして膨大な魔力をしょうもない魔法に使うのか不思議でならないわ」
「フハハハッ!そいつは本当に馬鹿だな!」
「ちなみにそいつは察しも悪いわね」
「そいつはどうしようもないな!」
「つまり、王馬の事を言ってるんだけど?」
「ん?」
王馬が少女、真宮更紗の言葉の1つ1つ解読し、最後の言葉に繋げた。
「はぁ!?俺がどうしようもなく察しが悪い馬鹿だってのか!?」
「さっきの変な魔法や、名指しでしか誰のことを言ってるのか分からなかったじゃない。つまりそういう事。証明終了」
馬鹿は真宮に反論する。
「変な魔法とか言うなよ!あれはナレーション魔法だ!視覚、聴覚、嗅覚、触覚に刺激し、あたかも物語の中にいるような感覚で語るという…」
「確かに凄かったわよ?外部デバイス無しで仮想現実を体験なんてさ。でもさ、外部デバイスさえあれば可能なのに、わざわざ大量の魔力を注ぎ込んで魔法を行使して…そんな非効率的な事、馬鹿以外にする人はいないわ」
「……いつでも仮想現実を楽しめる…」
「そうそう、魔法名もセンス無い。VR魔法って言った方が噛み合うし、王馬みたいな魔力タンクは普通の人にいないから、いつでもとは言わないわよ」
「…くっ!」
もう王馬は真宮に反論できないと悟り、肩を落とし、首を前にうなだれた。そしてフラッと意識が無くなりそうになる。
「ヤバイ、倒れる前に魔力回復しないと」
王馬は鞄の中から1本の小さな瓶を取り出し、キャップを開け、腰に手を当てグイッと飲んだ。
「…ぷふぁ!1本千円の魔養ドリンクではまだまだっぽいな。仕方がない、3千円もいっとくか!」
鞄から更にもう1本の先程の瓶より派手なラベルの瓶を開け、また腰に手を当てグイッと飲む。
王馬が飲み干した液体は、魔養ドリンクという物。
一般的に売られている魔養ドリンクは安い物で約100円から高いもので3千円。高い物ほど、魔力回復の効果が高い。
しかし、王馬にとっては千円の魔養ドリンクを飲んでも100分の1魔力が回復するかしないかの為、3千円の魔養ドリンクを3本、千円の魔養ドリンクを1本、緊急時の為の特注の魔養ドリンクを1本を常備している。
3千円の魔養ドリンクを飲んでも、全く魔力を回復しないが、魔力切れで倒れる事は回避された。
「いつ見ても魔力酔いしそうな光景ね」
「フハハハッ!俺にとっては水と一緒だ!」
「はいはい、くだらない魔法のせいで時間を食ったわ。さっさと帰るわよ〜」
「くだらないとはなんだ!もっと上達すれば別世界を作る…つまり空間を作る、やがては空間を支配する事だって出来るかもしれないぞ?」
「…もしそうなったら…それこそ魔法管理局が王馬を捕まえに来るかもね?」
「あっ…よし、止めよう。よし、帰ろう」
王馬はスタスタと公園の出入口に歩いて行く。
「…本当、馬鹿で良かったわ」
独り言を吐いて真宮は王馬の後を追った。
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