表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
十二章 固執する理由
95/165

7.紅葉の修学旅行 準備編

 武生さんのご両親と食事をしたのが、この前の週末だったなあと思っているうちに、クラスがそわそわと落ち着かなくなってきたように思えます。

 ‥そうか、もうすぐ修学旅行なんだな。結構毎日いろいろあるから、それどころじゃなかったや。

 でも、買い物ならだいぶ前に千佳たちと済ませたから心配はない。

 だけど、クラスの女子の話題はそういうことではないようだ。

 ちょっと小声で、

「○○君と写真撮ってもらうんだ~」

「○○君とクラス違うけど、友達に頼み込んで観光の時だけ班、変わってもらうんだ」

「旅行中に、○○君に告白する! 」

 とか、女子の皆さんは他にもいろいろ忙しい様なんだ。

 ‥なんか、わかる。恋っていいよねえ。

 なんて、ちょっと前の自分では絶対思わなかっただろうことをほのぼの思う自分が居たりして、なんだかこそばゆかったり、うれしかったり。恥ずかしかったり。

しかしながら、紅葉たちの班ときたら、

「私、新しいパジャマ買っちゃった! 」

「お小遣いいくら持っていく? 」

 所詮、こんなもの。色気のない班なんだ。

 でも、今はぐいぐい来られても、ちょっと‥だし。この位の方がいい。17年間女子をしてこられた皆様とは、‥残念ながら違う。

 そんなことを思っていると

「紅葉ちゃんは? 誰かに告白とかしたりする? 」

「へ? 」

 急に、女子に話しかけられた紅葉は、びっくりして変な声を出してしまった。今まで話したことが‥、多分ない女子だ。さりげなく鮮花に聞いても、首を振っている。

 ‥探りね。気を付けなさい。

 鮮花は「修羅場って程じゃないけどね~」なんて言ってるけど、身構えてしまう。

 ‥探られるのか‥。今まで、何だかんだ言って男ばっかりに囲まれてきたから、女の子ってあんまり慣れてないかも。‥特に女子トークまだハードル高すぎます‥。

「紅葉ちゃんって美人だからモテるのに、今まで告白されても受けてこなかったよね。誰か好きな人いるの? 」

 きた。ほぼ予想通りの探り。怖いです。

紅葉がちょっと固まっているのが分かったのか、野上さんが「ちょっと、止めなよ。困ってるだろ」と、にらみをきかせた。

野上さん‥! ありがとう。優しさにじんと来たよ‥。

「紅葉ちゃんは、そういうの、興味ないんだ」

 ほっといてやりなよ、ととげとげした口調。野上さん‥かばってくれるのは嬉しいんだけど、それじゃ、野上さんが悪者になっちゃうよ‥。

「えと、私‥好きな人‥います」

 私もちょっとは頑張らねば‥!

 しかし、何かね。緊張しちゃうね。こういうこと話すのって。

「ええ!? 」

 と、さっき質問してきた女子と、野上さんも目を見開いて紅葉を見た。と、今までおろおろしてた小西さんも紅葉を振り返る。

 よく見ると、男子も。つまりクラス全員が紅葉を注目している。

 ‥今まで、別な話をしているふりして、聞いてたな。って感じだ。

「誰!? 」

「この学校の人?! 」

 女子の皆さんがぐいぐい来ます。‥って、止めて~。だけど、頑張って否定はしておかねば。

「いえ。違います」

 にこっと。ちょっと、四朗君を見習ってみた。笑顔って大事だよね。

 別に目の前の女子がぽーとなってないのは、私のスマイルの威力不足なんだろう。‥美形度の違いかな。

 なんてことはない。ただ、四朗と違って魔性のスマイルじゃないだけなのだが、そんなこと紅葉にはきっと気付かない事なのだった。‥なんだって、その魔性のスマイルが効かないんだから。

「この人‥」

 ついでに、四朗君と武生さんが写ってる写メも見せちゃいます。証拠って奴です。女子の皆様がスマホの周りを取り囲む。

 一瞬しん、と沈黙して、その後はあからさまに、ざわざわとなった。

「え! 何この超絶美形! 」

「何? 見せて! 」

「ええ?! ちょっと凄くない?! 」

 ん? 何この反応‥。

 ああ、そうか。四朗君を見てるんだね? 

「え? いえいえ。四朗君じゃなくて、こっちの‥」

「え? 」

 ‥なんか、超絶美形の横に立ったら、かすむわあ。別に不細工ってわけじゃないのに、すっごい普通に見える。いや‥多分、そこそこ普通なんだろうな。なんでこの美形の横に立った?

 黙り込む女子の皆さん。多分同じようなことを考えている。 

「うん‥」

 残念だなあ、と。

 だけど、ちょっと安心した。この超絶美形とかだったら、「やっぱりね! 」感半端ないし、ちょっとジェラシー感じちゃうかも、だけど。この人なら、いい。うん。いい人そうじゃない? いいんじゃない? って感じだ。

 女子って、そういうとこある。

「写真欲しいんだけど、なんか言い出せなくって、隠し撮りしちゃった」

 そんな女子の皆さんの心なんてきっとわからない紅葉は照れ照れと話を続けている。

「わかる~! 乙女だもんね~」

 が、きっともはや女子の皆さんにとって武生はどうでもいい。

「この横の人って? 」

 むしろ、「四朗君」が気になって仕方がない。

「親戚」

 紅葉にとっては、四朗こそ「どうでもいい」のだが。‥いや、恋愛の対象としてであって、四朗のことなんてどうでもいいって話ではないのだが‥。

「‥そうだよね。紅葉ちゃんに似てるもんね‥」

 親戚。それならば、会いたいと言えば会えるか?? 誰か言って‥。

「凄い会いたいんですけど‥」

 言った、あんたグッジョブ!!

「‥学園祭に来てくれるように言っとこうか? 」

「「「是非!! 」」」

 武生さんも四朗君と一緒なら来てくれるかな。そしたら‥相崎も来るかな。

 ‥それは、面倒くさいな。

 は!!

 ってか、凄く遠いよ!! この頃、桜様に出してもらって新幹線移動が当たり前みたいになってたけど、結構遠いよ!! 少なくとも勝手に決めていい距離じゃないよ!! しかも、四朗君たち凄く忙しいし‥。

「あ、でも、凄く遠いところに住んでるから‥。一応伝えはするけど、駄目だったら‥ごめんね」

 持ち上げて、一瞬で落とす紅葉だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ