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相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
十一章 それぞれの「幸せ」
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2.幸せ家族計画? 

「初めまして、私、柊 紅葉と申します。武生さんとは、お付き合いさせていただいています」

 初対面、それもなりたての恋人の母親に対しても、全く物怖じしない、鮮やかな笑みを浮かべて自己紹介する紅葉に、武生の母親・紘子はちょっと顔を赤くする。

 流石、紅葉ちゃん。

 だが、武生‥。普通は、お前が紅葉ちゃんを紹介するもんだろう。

 四朗がちらりと横を向き武生に胡乱げな視線を寄こすと、武生がちょっと四朗を睨み返して来た。

「あら! 初めまして! 貴女が紅葉さん? 武生ったら、どこでこんな綺麗なお嬢さんと知り合ったのかしら! ‥ちょっと四朗君と似てるわね」

 その週末、四朗はいつもより二倍増しに声が高くなっている紘子と、いつも通りの武生の横に座らされていた。そして、反対隣りにはニコニコとご機嫌に笑う武生の妹・菊子が当然とばかりに陣取っている。

 向かい合って座っているのは、四朗の弟の博史と紅葉だ。

「従兄弟、です」

 常の営業スマイルはどこに行ったのか、全く遠慮なぞいらんとばかりに無気力・無表情で単語を綴る四朗。

 そんな、非協力的な幼馴染に小さく舌打ちする武生。こっちサイドは、武生の母親以外、ほぼ通常運転だ。

 ‥さっきこいつはなんかさらりと衝撃的な新事実を言わなかったか? 

 紅葉さんと四朗は従兄妹だったのか! 成程ねえ。似てるはずだ。

 武生は今更ながら、自分が紅葉のことを何も知らないことを実感した。

「まあ! そうなの」

 華やかな声を出して、反応する母親に、武生は小さくため息をついた。

 はしゃぎすぎだ。恥ずかしい。

「兄さま! その方が、私と四朗様のお姉さまになる方なのですね! 私にも紹介してくださらないの? 」

 四朗の横で機嫌のいい妹が、同じくはしゃいだ声を出す。

 ‥まったく我が家の女性陣ときたら。

 相馬家の男性陣は、武生程ではないが普段からみんな物静かなのだ。

 父親は今日は「緊張させると悪いから」と席を外しており、兄は仕事で出かけている。日曜祝日がきちんと休みな父親と違い、兄は休みが不定期な仕事についていた。

 時々、相生や相崎と共に仕事をするために、長期休暇が取れるという条件で選んだ結果そうなった。

「菊子ちゃんの姉はともかく、俺の姉ではないよ‥」

 四朗は、心ここにあらずという様子で、ため息交じりに呟き、目の前に置かれた茶をすすった。

 紅葉がそんな四朗を見て苦笑いをしているのを、武生はちらりと見た。

「あ、そうだね! 武生さんと紅葉さんが結婚して、兄ちゃんと菊子ちゃんが結婚したら、武生さん、兄ちゃんの兄になるんだね。同じ年だのに」

 と、ここで博史が目を輝かして武生を見た。

 完全に面白がっている顔だ。

「勝手に決めないでよ‥」

 武生が義兄とか、ない。

「そうですわ! すばらしいですわ! 」

 味方を得たりとばかりに、菊子がぱっと顔を輝かせる。

「子供は、兄さまの子供を一人貰えばいいわけですし」

 ぶ! 四朗は吹き出しそうになった茶をかろうじて堪えて、目をばっと菊子から逸らした。

 なんてこと言うんだ!!

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