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相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
十章 赤い水
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6.改めて、照れる

「なんか、二人して俺の両親みたい。二人して心配したりしてさ」

 四朗は、居心地悪さに、わざと悪態をついた。

 なんか、もうホントに照れるし、恥ずかしい。

「‥あら、失礼ね。そぉんな図体のでっかい子供なんて紅葉には居ないわよ」

なんて、意地の悪いこと言うのは鮮花。相変わらず、憎たらしい。

「紅葉様の子供は、四朗様みたいにひねくれ者で図体だけデカくても、うじうじ悩んでるようなチキン野郎にはならないでしょうしね」

 と、これは月桂。

 ‥ホントにこいつらは口が悪い。

「おいまて、さらっと俺の家族の悪口はやめてくれ」

 と、反論してみたら

「そう思うなら、ご自分のその超ネガティブな日常を悔い改めてくださいませ」

 ふふ、と華鳥が笑う。

 ここには、俺の味方はいないのか。

 隣で紅葉ちゃんがおろおろしていて、武生はそんな紅葉ちゃんを心配している。おい、こら、幼馴染のことはどうでもいいのか。武生よ。

「まあまあ。青年というのは得てして、悩みを抱えて生きていくものですわ。悩んで悩んで、眠れない夜を過ごして大人になっていくものなのですわ」

 なんてドヤ顔をする「お姉さん」な臣霊に、堪えきれずため息をついた。

「華鳥‥」

 臣霊って、相変わらずちょっとずれてる。

「というか‥。私たちが紅葉の子供になるのかあ‥。なんか、実感わかないなあ」

 鮮花がちょっと肩をすくめる。

「きっと、楽しくなるね」

 紅葉がにっこりと微笑んだ。武生は赤面して黙っている。

 ったく、このむっつりが。

 四朗は呆れて武生を見た。

「俺は、嫌だ」

 月桂が機嫌の悪そうな声を出す。

 四朗には月桂の表情はわからないが、あの声の様子だと、きっと機嫌の悪い顔をしているのだろう。

「あら、どうして月桂? 」

 鮮花が、月桂の顔を下から覗き込みながら聞く。

「それでは‥紅葉様を守れない。いつも紅葉様の傍にいられない」

月桂が、不機嫌なままの口調で言う。

 改めて聞くと、ちょっとしたストーカーだなあ(※ちょっとではない。四朗も臣霊だから、ちょっとずれているんだ)と、四朗がぼんやり思っていると、紅葉がぷっと吹き出す。

「守ってもらわなくたって、大丈夫だよ? 私強いし」

 ころころと笑いながら、月桂を下から見上げる。

 「だから、安心して」って微笑む。その表情が、愛おしむみたいに優しくって、もう「お母さんみたいだな」って思えて‥

 四朗はちょっと照れて、武生は感極まって

「俺が守ります」

 なんて、今日一番男前な顔で臣霊に宣言した。「だから、御嬢さんを俺に下さい」って言いそうな勢いだ。

 聞いてるこっちが恥ずかしい。

 ホントに恥ずかしくって、つい苦笑いして「ここにいるのはお邪魔だね」なんて言いそうになる。

 隣の紅葉を見たら、もう顔なんて赤いを通り越して、沸騰しそうなくらいだ。

 しかし

「「無理!! 」」

 少しの沈黙の後、臣霊二人にきっぱりと否定されて、武生はちょっとへこんだ。

「だって、武生は紅葉より弱いじゃん」

「俺の洗脳にたやすくかかるしな」

 口々にとどめを刺していく。

 ひどい、俺ならちょっと立ち直れない。

「今のままいる気なんてない。俺はもっと強くなりますよ」

 って、もう立ち直った武生の発言は、ちょっと開き直りは入ってたかもしれないけど、ちょっと男前で。

 ‥やるなあ。

 なんて。同じ男として見習わないとなあって思った。

 恋をしているからかな。恋をしたら、俺もこんな風に言ったりするのかな。

 そんな気持ちに自分もなってみたいな。

 初めて思えた。

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