6.改めて、照れる
「なんか、二人して俺の両親みたい。二人して心配したりしてさ」
四朗は、居心地悪さに、わざと悪態をついた。
なんか、もうホントに照れるし、恥ずかしい。
「‥あら、失礼ね。そぉんな図体のでっかい子供なんて紅葉には居ないわよ」
なんて、意地の悪いこと言うのは鮮花。相変わらず、憎たらしい。
「紅葉様の子供は、四朗様みたいにひねくれ者で図体だけデカくても、うじうじ悩んでるようなチキン野郎にはならないでしょうしね」
と、これは月桂。
‥ホントにこいつらは口が悪い。
「おいまて、さらっと俺の家族の悪口はやめてくれ」
と、反論してみたら
「そう思うなら、ご自分のその超ネガティブな日常を悔い改めてくださいませ」
ふふ、と華鳥が笑う。
ここには、俺の味方はいないのか。
隣で紅葉ちゃんがおろおろしていて、武生はそんな紅葉ちゃんを心配している。おい、こら、幼馴染のことはどうでもいいのか。武生よ。
「まあまあ。青年というのは得てして、悩みを抱えて生きていくものですわ。悩んで悩んで、眠れない夜を過ごして大人になっていくものなのですわ」
なんてドヤ顔をする「お姉さん」な臣霊に、堪えきれずため息をついた。
「華鳥‥」
臣霊って、相変わらずちょっとずれてる。
「というか‥。私たちが紅葉の子供になるのかあ‥。なんか、実感わかないなあ」
鮮花がちょっと肩をすくめる。
「きっと、楽しくなるね」
紅葉がにっこりと微笑んだ。武生は赤面して黙っている。
ったく、このむっつりが。
四朗は呆れて武生を見た。
「俺は、嫌だ」
月桂が機嫌の悪そうな声を出す。
四朗には月桂の表情はわからないが、あの声の様子だと、きっと機嫌の悪い顔をしているのだろう。
「あら、どうして月桂? 」
鮮花が、月桂の顔を下から覗き込みながら聞く。
「それでは‥紅葉様を守れない。いつも紅葉様の傍にいられない」
月桂が、不機嫌なままの口調で言う。
改めて聞くと、ちょっとしたストーカーだなあ(※ちょっとではない。四朗も臣霊だから、ちょっとずれているんだ)と、四朗がぼんやり思っていると、紅葉がぷっと吹き出す。
「守ってもらわなくたって、大丈夫だよ? 私強いし」
ころころと笑いながら、月桂を下から見上げる。
「だから、安心して」って微笑む。その表情が、愛おしむみたいに優しくって、もう「お母さんみたいだな」って思えて‥
四朗はちょっと照れて、武生は感極まって
「俺が守ります」
なんて、今日一番男前な顔で臣霊に宣言した。「だから、御嬢さんを俺に下さい」って言いそうな勢いだ。
聞いてるこっちが恥ずかしい。
ホントに恥ずかしくって、つい苦笑いして「ここにいるのはお邪魔だね」なんて言いそうになる。
隣の紅葉を見たら、もう顔なんて赤いを通り越して、沸騰しそうなくらいだ。
しかし
「「無理!! 」」
少しの沈黙の後、臣霊二人にきっぱりと否定されて、武生はちょっとへこんだ。
「だって、武生は紅葉より弱いじゃん」
「俺の洗脳にたやすくかかるしな」
口々にとどめを刺していく。
ひどい、俺ならちょっと立ち直れない。
「今のままいる気なんてない。俺はもっと強くなりますよ」
って、もう立ち直った武生の発言は、ちょっと開き直りは入ってたかもしれないけど、ちょっと男前で。
‥やるなあ。
なんて。同じ男として見習わないとなあって思った。
恋をしているからかな。恋をしたら、俺もこんな風に言ったりするのかな。
そんな気持ちに自分もなってみたいな。
初めて思えた。




