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相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
六章 迷い・戸惑い
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3.四朗、お前はロボットか?

 さて、週末の秘密特訓を経て、今日は相崎と四朗のリベンジ試合です。

 会場にはどこで聞きつけたか、黒山の人盛りです。

 コートを一面貸したテニス部は、迷惑そうに

「こっちのコートには入るな。踏むな」

 と野次馬相手に声を張り上げている。

「テニス部に迷惑だから、たったと終わらせよう」

 自信満々な相崎は、今回もやっぱり負ける気はしない。

「ああ」

 うんざりとした顔の四朗は「じゃあなんで、もう一回させられるのだ」という顔だ。特訓はしたが、リベンジを申し込んだのは、別に四朗ではない。

「しんちゃん、再試合を受けてもいいよ。いや、受けてあげるよ」

 と、相崎が無理に決めたことなんだ。

 ほとんど女の子の観客も、その時その場にいたメンバーだ。

 ‥モテたいからって、そこまでするかね‥。

 四朗は呆れてしっまった。

「さすがにこんなに観客がいる中で負けるのはいい気がしないな」

 ため息交じりに四朗が言うと、

「おやおやご謙遜を」

 相崎がにやりと笑った。機嫌が頗る良さそうだ。

 で、今のこの状態に至ったわけだ。

「先に‥。俺サーバーでいい? 」

 四朗が相崎の返事を待たずに、サーブを打つためにライン際に行き、ボールを手に取る。

「おい‥。って、仕方ないな」

 あくまで、ハンデだ。

 相崎も、サービスコートで構える。

 試合開始の合図共に、四朗の速いサービスが、サービスコートに入る。サービスエースだ。

「は‥」

 相崎が息を飲む。

「‥見たか。全国大会出場・相生博史直伝の「地獄サービス」だ‥」

 だせぇネーミングだな、おい。

 相崎の顔が引きつる。

「何、ひろくんに特訓して貰ったの」

 呆れ顔で言った相崎に、四朗がちょっとにやりと笑った。幼馴染だ、勿論相崎は、四朗の弟である博史にも面識があって、「ひろくん」と呼んでいた。博史は不満そうなのだが。

「もしかして、サーブだけ? 」

「ご想像にお任せします」

 にやりと笑ったまま答えない四朗の態度に、相崎は確信を得た。

「じゃあ、勝ったな! 」

 煽る相崎に、四朗はまたにやり。

 結果、あのサーブあのサーブでその試合をサービスキープする。

「今度もサーバーで‥」

「ぬかせ! 」

「‥ハンデ」

「相生君、相変わらずだな」

 池谷がその二人のやり取りに爆笑する。

「なんか可愛い~」

 と、まあ女子の意見も何となく頷ける田中。この頃、四朗に対する親近感半端ない。

「たったと試合を終わらせろ~」

 テニス部の声が低い。


「で、やっぱり今回も俺の勝ち☆ しんちゃん、サーブ以外にも練習してこなきゃだよ」

 勝ったことで、相崎の機嫌はすこぶるいい。女の子に囲まれて、期限は更にMAXだ。

 四朗は、女の子から差し出されたタオルを、笑顔で断りながらコートから出て行く。それをゆったりと追いかけながら

「相変わらずつれないなあ。しんちゃんは」

 と、呆れ顔を作って見せる。

「モテたいとか、ないの? 」

「ない」

「四朗、お前はロボットか? 」

 珍しく、「しんちゃん」では無く「四朗」と呼んで相崎がちょっと真剣な顔を作った。

「相生らしくないぞ」

 またそれか。四朗がうんざりした顔をしかけていると

「四朗。まだ学校にいたのか? 遅れるぞ」

 四朗たちの後方から聞こえた、低いけどよく通る声。

 四朗は、仏頂面したもう一人の幼馴染の声に、「天の助け! 」とばかり顔を輝かせて踵を返すと、相崎に手を振って別れた。

「逃げたな」

 苦笑いする相崎。

「四朗様、嬉しそうね」

「やっぱりあの噂」

 楽しそうに無責任なことを言い合う女の子たち。

「止めてやって‥」

 四朗を庇うふりして楽しそうな相崎。

 そんな会話を耳の端に聞きながら

「あ、武生。先行っててくれない? 汗だくになったから、服換えていく」

 四朗は、目の前の武生に教室に戻ることを伝える。

 鞄も置いてあるし。

「ん」

「何、これから道場? 」

 ひょこりと、四朗を振り返って、相崎が叫ぶように聞く。

「ああ」

 それに腕をあげて答えると、四朗は一人で教室に向かうのだった。


 ‥また負けたか。

 負けず嫌いの四朗だ。悔しくないわけはなかった。

 しかしそれよりも。

 ‥さっき、なんかの感覚がつかめそうだった。

 その事の方が気になった。

 何か‥相崎の息というかが伝わってきて‥あれか、西遠寺の鏡の秘術。あの息遣いごと、全部映して、そのまま‥相手に合わせる。そして、反撃のチャンスをうかがう‥。

 もう少しで分かりそうなんだけど‥


「ん。携帯‥」

 教室に戻ると、鞄の中で着信を知らせて、携帯が光っているのが見えた。

 発信者をみて、思わず目を見張る

「え? 桜‥母さん? 」


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