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相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
五章 周辺事情
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5、相崎君とのデート

 さて! 今日は待ちに待った紅葉ちゃんとのデート! 

 こんにちは、相崎 信濃です。

 今日の彼女は、すっきりとした白いブラウスに藍色のガウチョパンツのシンプルなスタイルです。飾り気がないそのファッションは、彼女の健康的な美しさを引き立たせています。

 もう、周りの皆がついガン見してしまう位の美少女です。

 こうして、しみじみ彼女の顔を見れば、確かに四朗に似ているところもある‥しかし、決して「身代わりが務まる」ほど似ている様には見えない。

 肌は健康的に日焼けしていて血色もいいし、長い漆黒の髪も清楚で俺の好み。気の強そうなやや切れ長の綺麗な目は、しかしながらここだけは四朗と同じく色素の薄い色をしている。

 でも、ホントになんで身代わりが出来たんだろ‥。と、思わずにいられないわけなのだけど。

 話してみると、さっぱりとしていて本当にいい子だった。ホント、しんちゃんとは大違いだ。

 俺と紅葉ちゃんは。まさに美男美女のお似合いなカップルなわけだけど、後ろにはなんだか目つきの悪い陰気な男(※不機嫌極まりない顔した四朗です)がついて来てるから嫌になる。まあいいや、警護するSP位に考えてればいいや。

 俺の今日の役目は、紅葉ちゃんを楽しませることだからね!

 だのに

「この時期の海とか、人気が少ないだろ。もっと、人の多いところに行け」

 だの、

「いや、ほかの人を巻き込むのもいけないな。広くて、回り込まれない場所にしろ」

 だのそのSPがうるさい。

「しんちゃん。うるさいよ。邪魔するなら帰ってよ。っていうか、やっぱり邪魔しようとしてるんでよ? 男の嫉妬とか、見苦しいよ。紅葉ちゃんも、後ろから変な男がついて来てたら気になるだろうし」

「いえ、本当に(どうでも)いいですから」

 紅葉ちゃんが、苦笑いをして言った。

 紅葉ちゃんに気を使われてしまってるじゃないか。ホント、しんちゃんってばそこそこモテそうな顔してるのに、こういうことに向いてない。

 ‥ホントに相生の人間なのか?

 おまけに、今。俺たちは見知らぬ大人な不良に絡まれている。しんちゃんと一緒にいるからに違いない。何せ目つきが悪いから、ガン飛ばしてるとか思われたに違いない。本当に迷惑だ。

 気が付けば、周りには人もいない。今まで周りにいた人達どこ行っちゃったの?

 まあ。相崎の家も金持ちだから今までだって誘拐未遂がなかったわけじゃないし、別に慌てるわけではない。その為に、日々護身術をかねた武道の訓練もかかせない。それは、俺だけじゃなくて、四家の人間全員だ。

 まあ、俺の場合はいざという時に女の子を守れなくちゃ困るから、なんだけど。

 それにしても、今日は人数が多いな。

 とにかく彼女を安全な場所に逃がさなければ‥。

 そんなことを俺が思っている間に、彼女の肩を大人な不良が掴もうとした。

「おい! 」

 俺と四朗が叫んだのはほぼ同時で、彼女がその腕をつかんで、一本投げのように投げ飛ばしたのもそれとほぼ同時だった。

 その後は、「やっちまえ! 」って感じで悪者が俺たちに躍りかかってきて、俺が何人かを相手している間に、四朗がまた何人かを倒し、しかし、残りを全滅させたのは、まさかの紅葉ちゃんだった。

 それも、瞬殺。‥というのは、さすがに言い過ぎだが、やたら手際が良かった。

「えーー」



「強っ! 」

 ‥初めて見た‥。これが、西遠寺っぽい戦い方‥っ。

 凄い。全く無駄がない。

 四朗は、地面に倒れた男たちを隠すために草むらに投げながら、それを呆然と見ていた。

 力でやり込めるんではなく、相手の攻撃の流れを利用して、それを上手に流しながら、相手の急所弱点を付いて集中的に攻撃している。手合わせをした瞬間に「分かる」西遠寺ならではの戦い方だ。

 俺には、まだこの「分かる」感覚が十分につかめていない。力を流すことには慣れて来たんだけど。

 やっぱり俺も、この力を身に着けたい‥!

 戦う紅葉ちゃんを見て、相崎はちょっと怯んで、四朗は激しいライバル心を燃やしたのだった。



 その後、

「大丈夫ですか? 四朗君、相崎さん」

 ちょこりと首を傾げて二人を気遣う紅葉に、相崎は

「参ったね。でも大丈夫。そんなことで君のこと嫌いになる俺じゃないよ。

 元気のいい君だって大好きさ。だけど、今度からは俺にも任せてね? 俺のカッコイイところだって見せたいからね。それよりもケガはない? かわいい女の子をケガさせたなんていうことになったら、俺の一生の不覚になってしまうからね」

 なんて、(ちょっと本調子ではないものの)いつものチャラ男っぷり健在だ。

 さっきまで、ちょっと引いてたのに、なかなか丈夫な男だ。

 四朗はそんな相崎にドン引きして、紅葉は「全く、君は相変わらずだな」と呆れ顔をした。

 その笑顔は、今まで四朗として暮らして来た「普通で優しい四朗君スマイル」だった。

 おんなじ顔でも、生身が違ったらこんなにも様子が変わる、という話。


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