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相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
四章 入れ替わり
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4.四朗の修学旅行

「四朗。修学旅行行かないでしょ? 」

 武生が修学旅行のお知らせを取り上げながら言った。

「ん? そうだね‥」

 頷いては見たものの

 行かないの? 

 行けないの?

 首を傾げてしまった。そういえば、今まで旅行っていかない前提で断って来たけど、修学旅行も?

 なんか、それは‥ちょっと‥

 それはちょっと、悲しいかも。

 でも何だか武生が言うように、行ってはいけない気もする。何故だかわからないけれど。

「他の奴と相部屋が嫌なんだたら、‥個人部屋取ったらいいんじゃない? 俺も取るし」

「ん? 」

 相部屋が嫌って話なんてしたか? 

 相生君は首を傾げた。

 相生君が女の子だって知っている相崎からしたら、相生君はきっとそういう心配をしているのだろうと思ったのだ。

 別に四朗など好きでもないが、女の子に意地悪をするのは、男としてどうだと思う。ただ、それだけだ。きっと唯一気付いているだろう自分がフォローしてやらないといけない。

 と、ふと気づいた。

 もしかして、武生も知っているのか? 知っているから、いつも四朗にべったりなのか? じゃなかったら‥もしかして、恋‥いや、変なこと想像するのはやめよう。気持ち悪い。

 知っていると考えるのが、自然か。

 いつも一緒にいるしな。

 でも‥知ってるか? なんか、引っかかるんだよなあ‥。何かが‥。

「個人部屋だったら、個人風呂が部屋についてるから、恥ずかしくないだろ? 」

 相崎はさっきから頭の中で展開している、とんでもない仮説をとにかくわきに置いて言葉を続けた。

「まあ、そうだけど‥」

 答えたのは、武生。

 なんだ? お前、俺のマネージャーか?

 相生君は目を白黒させた。

「だけどなあ‥」

「俺は行きたいけど」

 相生君が楽しそうに叫んだ直後、相生君はそのまま机に突っ伏していた。なぜか、横に座っていた武生に思いっきり殴られたのだ。

 お前は黙ってろオーラを全身にまとった武生が相生君をにらむ。

 そうそう、これこれ。この扱い。平常運転の武生の相生君の扱い。女の子にこんな扱いする??

 相崎の背中に冷や汗が流れた。

「いてて‥」

 頭をなぜながら、起き上がる四朗。お前も、慣れ切っているな。なんだ、この二人。四朗が女の子だと知っていると考えると、武生のこの扱いはおかしいな。武生が女の子だろうと容赦なく暴力ふるうタイプなのかもしれないけど‥。(なんだそりゃ、ちょっと引くなあ)

 ! もしかして、四朗は二人いるのかな。片方が本物の四朗で、身体測定とかは、その四朗がうけてって感じかな。

 じゃあ、その四朗が旅行に行けばいいわな。

 いいかな?? そういうものかな??

 しかも、じゃあなんで女の子の四朗がいる?? そうか‥成程ね‥相生の仕事で海外に行き過ぎで出席日数足りなくなるから、代わりに授業を受けている四朗の親戚の女の子か! 

 それだ! 実にありそうな話だ! 

 でも、だとしたらさっきの「俺は行きたいけど」発言。あれは、身代わりとしてダメなセリフじゃないか? 自らばれる危険を呼び寄せてどうする。つい本音が出ちゃって、武生に容赦なく駄目だしされたのかな? 

 それとも、旅行は本物の四朗が行くってことかな。それって、かわいそうじゃない? しんどいことだけ身代わりの四朗で、楽しいことは四朗の本物。実に、おかしいじゃないか!

 勝手な仮定で勝手に憤りを感じる相崎だった。


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