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相生様が偽物だということは誰も気づいていない。  作者: 大野 大樹
二章 柊 紅葉
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4.想定外のことって起こるものなんです。

 声の問題を何とかしてくれたのは、常に俺につくように言われている女型の臣霊だった。彼女は、鏡の秘儀を常時展開しながら、代わりに話してくれる。

 考えもなにかも、筒抜けなわけで、つまらないことなんて、考えられない。

 プライバシーなんかあったもんじゃないんだかけど、そのうち慣れてしまって今ではちょっとした執事代わりだ。

 問題の定期検診は、紅葉と背格好の似た女中が鏡の秘儀で紅葉に化けて代わりに受けるから問題はない。西遠寺に桜の他にもは何人か、事情を知っている者がいるのだ。

俺は、十年前から自分の体調がわからないわけだが、大丈夫なのだろうか? 風邪一つひけない状況だ。

 と、まあ問題も多いが、俺たちは入れ替わりがつつがなく行われた、と思っていた。だけど‥

 確認を怠ったんだ。

 結果は、入れ替わりはつつがなく行われていなかった。

 事故により、紅葉は、記憶を失って自分が「柊 紅葉」だということを忘れていることは、俺たちは知らなかったんだ。

 それが分かるのは、まだ先のことで今の地点では、問題は何一つなかった。

 問題があるとしたら、俺の方だった。

 西遠寺の力を取得する修行が思った以上に進まないのだ。

 遺伝していないのではないか? と、俺は諦めているが、母親である桜は

「そんなわけがない」

 と、聞かない。

 技を盗ませるために、桜は色々なエキスパートに俺を会わせるわけだが、目の前の相手の動きに「合わせる」という感覚は、どうしてもわからなかった。

 結果、俺は結局剣にしても弓にしても、目の前の相手と互角に勝負するために、普通に努力するほかなかったのだった。

 ‥なんだか、これって父さんみたいだ。

 父さんも、相生の力があまりなかったから自力で語学を身に着けた。父さんの口からそれを聞いたことはないが、俺にはわかった。‥たぶん、おじい様にもわかったのだろう。だから、俺をさっさと襲名させたのだろう。

 父さんは、双子だったから、もしかしたら叔父さんと力が分けられてしまったのかもしれないな。少なくとも、叔父さんに全て力がいっているわけではない。だけど、たぶん叔父さんの方が力を受け継いでいる。

 きっとそれを父さんは気づいていた。だけど、叔父さんには相生を継ぐ気はない。それがもどかしくて、父さんは叔父さんと確執があった。

 だけど、おじい様にしてみたら、どちらも変わらなかったんだろう。多少多いだけの話だったわけだし。だから、全く継ぐ気がなかった叔父さんより父さんを後継者に選んだ。

 旧家って大変だ。

 しかし、相生の力と通ずるところ‥か。

 頭に直接入り込む(ってのも、言い方が悪いけど)相生の力は、信頼関係とまではいかないけど、もっと段階を踏む。

 自己紹介だ。

 私はだれだれです。貴方は? 相手が心を開いてくれなかったら、そこまでだ。だから、相生の人間はやたらフレンドリーで、礼儀正しいんだ。

 フレンドリーだけど、馴れ馴れしくない。そして、怪しくない。魅了するっていうのも変な話だけど、ちょっとした色仕掛けだって視線一つでできないようじゃ、相手の心をつかめない。

 おじい様たちがやたら顔にこだわるのもそのせいなんだ。

 ‥「同じ原理」というならやってみるか。

 鏡の前で、ここぞという時のキラースマイル。

「こんにちは、相生四朗です」

 ガチャリと自室の扉が開く。

「くれちゃん~誰か来てるの? 」「え! 」

 そこには、固まっている千佳。

 そして、鏡に映っているのは十八歳(であろうと思われる)自分の姿だった。

 ‥しまった‥


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