はなしのおわり
稚作「怖い話をしたら・・・」、最終話です!
最後まで楽しんでやってくださいです。
色んな話を聞いたなぁ。他にもあった気がするけど、流石に全部は思い出せないか。
あいつら元気にしてるかな?あの後まったく連絡取りあってないからな。
便りが無いのはいい便りって言うし、心配ないか。
空はすっかり夕焼けに染まり、公園の子供たちも家に帰った後らしく誰も居なくなっていた。
物思いにふける前が子供たちの下校直後だったはずだから、そう考えるとずいぶん長い間思い出に浸って、聞いた話を思い出していたらしい。
話に夢中になりすぎて外は真っ暗になり、見回りの先生にみんなで怒られて学校から追い出され、家に帰ったら今度は親に怒られて。
懐かしいなぁ。あん時の俺が数年経って、今年成人式を迎えて大人の仲間入りだもんな。
俺は懲りずにまた物思いにふける。
そこでまた、頭にちくりと痛みが走る。
さっきから何なんだろうか?
明日病院に行ってみるか。
そいえば仲良くなった子達の話ばかり覚えてた気がするな?
一緒に行った友達3人、仲良くなった子達4人・・・うん、全部向こうの子達が話してくれたやつだな。
不思議なこともあるもんだなと、俺はあくびをしながら伸びをする。
その時、急に強い風が部屋の中に吹き付けて来た。
それと同時に、背後から人の気配がしたので振り向く。
そこには最初頭が痛くなった時に、公園に居るのを見た女の子が立って居た。
その女の子はにっこりとした花のような笑顔で、
「約束。迎えに来ました」
と告げた。
あぁそうだった。さっきからの頭の痛みの原因がやっと解った。
むしろ、なんで忘れていたんだろうか。
あの日俺は仲良くなった子達の1人、目の前の女の子に、
「大人になったら俺が君と結婚して、悪い奴らから守ってやる!」
って勢いに任せて言った事があったんだ。
正直前後の会話は思い出せないけど、しっかり指切りまでして約束してたのにな・・・。
「ごめん忘れちゃってて。ずいぶん待たせちゃったね」
俺が謝ると女の子は一瞬悲しそうな顔をした。
やっぱ忘れてた事がショックなんだろうな。悪いことした。
「約束通り結婚しよう。俺を君の所に連れて行ってくれる?」
そう訊ねられた女の子は心底嬉しそうな顔で俺に飛びついて来て、『あの日と変わらない姿』で俺に唇を重ねてきた。
後には誰も居ない部屋と、夏にしては暑過ぎず気持ちのいいそよ風が残されていた。
いかがでしたか?
これにて「怖い話をしたら・・・」は終わります。
怖い話をしたら集まって来た霊達に連れ去られるよ!って感じの終わらせ方の予定だったのですが、もう1話目から変わっていきまして、気付いたらこんな終わり方になっていました。
個人的には好きな終わり方なので、の~問題でいいと思います。
それにほら、綴ってるうちに変わっていくなんてよくある事じゃないですか!