2人目 祖父の遺影
1話完結第3弾です!
どうぞ!
父の実家である祖母の、もといばーちゃんの家を訪れ、無理やり泊まらされた夜中に目を覚ました。
いつもは朝までぐっすりなのに、珍しいこともあるもんだ。
なぜばーちゃん家に来たかというと、別にお盆や年末年始での帰省というわけでもなく、単に気が向いたからというだけの理由からだ。
ばーちゃんの家までは電車で1本、最寄駅から道なりにず~っと真っ直ぐ歩いて10分程なので、小学生のお使いでもよほどのことが無い限り迷うこともない。
だから僕も気軽に来れたし、中学生になりさほど心配されないせいか、電話1本で快く泊まりOKの許可が出た。まぁ、ばーちゃんのこと嫌いじゃないからいいけどさ。
せっかく目が覚めたのですぐに寝るのは勿体無いと思い、飲み物を貰おうかと2階の寝てる部屋から1階の居間に降りて行く。
居間に着いて電気を点けた僕は何かないかと冷蔵庫を漁る。
ばーちゃん家の冷蔵庫にはヨーグルトが常備されているのでそれを1つ。
あとは飲み物・・・麦茶でいいか。コップに注ぎテーブルに向かう。
席についていただきますをしてからヨーグルトをひと口ぱくり。うん、美味しい。
しばらくヨーグルトにぱくついていると、ちゃんと扉の閉まりきってない仏壇が視界の隅に入る。
この仏壇は、僕が物心つく前に亡くなったじーちゃんの為のものだ。
どんな人だったかは厳しかったという話と、居間に飾られている写真と遺影でしか知らない。
そういえば来た時にじーちゃんに挨拶するのを忘れていたなと思い、食器を片づけてから手を合わせる事にした。
食器を片づけ終わった僕は、眠気が来たのかぼ~っとする頭で仏壇の斜め前に座り、目の前の木棚の引き戸を開けたところで気がついた。
・・・なんで間違えたんだろう?
いくらぼ~っとしていたとはいえこれは酷いと、1人苦笑を浮かべる。
木棚の中にはこれといって目立った物が入ってるわけでもなく、数珠やお経等の仏壇関連グッズが入っているだけだった。
僕は気を取り直して仏壇の前に移動し、手を合わせるために微妙に開いた仏壇の扉を開く。
この時目についたじーちゃんの遺影の顔が、酷く歪んで見えた。
勢いで飾ってある写真にも目を向けるが、そちらもやたらと不気味に、しかも普段見る写真とは別の顔に見える。
寒気を感じつつも、きっと光の加減や時間帯のせいだろうと納得し、じーちゃんに挨拶を済ませることにした。
遅くなったことに謝りながら挨拶を済ませた僕が立ち上がると、猛烈な眩暈と寒気に倒れそうになった。
なんだこれ?風邪でも引いたかな?
立ってるのもやっとな状態で、なんとか降りて来た階段に到着する。
今の状態じゃ踏み外しかねないので、1段1段慎重に上る。
半分ぐらい上った所にある、小さな踊り場みたいな所に着いた時に、意識が飛び掛けるほどに眩暈と寒気が酷くなった。
何なんだよ・・・いったい・・・。
あまりの酷さに流石に立って居られなくなり、階段に手をついてうずくまり目を閉じる。
この時我慢してでも目を閉じなければ良かったと本気で思う。
酷いのに変わりはないが少しだけ楽になったので、上るために顔を上げて目を開くと・・・
まるで般若みたいな顔で怒っているような、でも口を引き結んで真面目な顔をしているような、そんな色々な感情がごちゃ混ぜにされた『じーちゃんの顔をしたなにか』の顔が、目の前にあった。
それを視た瞬間、僕の意識は無くなった・・・。
次に僕が目覚めた時には、布団の中で朝を迎えていた。
ばーちゃんが運んでくれたのかと思い確認すると、そんなことはしていないと返された。
じゃあ自分で戻ったのだろうか?
それとも昨夜のは夢だった?
結局分からない事だらけだが1つだけはっきりしているのは、あの時視たのは絶対にじーちゃんでは無かったということだけだ。
それ以来、自分の家でも夜に目が覚めたとしても布団の外に出る事をしなくなった。
いかかがでした?
いろんなきゃ~きゃ~(悲鳴なり笑なり)響かせていただけると嬉しいです♪