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ねた、よん〜初?ホラー(´・ω・`)?

十一月二十五日の活動報告に掲載した掌編を加筆修正した初?ホラーになります。



「おかえりなさい」

「ただいま」


 ただ、繰り返す。それだけでも良かった。

 彼女は旦那と婚姻して三年を迎える。ともに共働きであり、自身と旦那の勤務時間の都合上、かなりすれ違っていても――彼女は彼女なりにその生活を満足していた。

 仕事から帰り、洗濯掃除ご飯の準備。同じようだけれど、過ぎていく毎日がとてもいとおしかった。


 ――「こんにちは」



 旦那の姉、つまり義理の姉が妊娠したと、彼女に電話の連絡が来たのは、いつものようにゴミだしをしていた午前中だった。


「おめでとうございます!」


 先月から、月のモノが来ていなかったという。なので産婦人科をたずねてみれば――おめでた、二ヶ月目であったという話であった。

 義姉は今月結婚したばかりであった。できちゃった婚、らしい。昨今はよくある話だ。けれども義姉の場合は、おめでたを知ったのは結婚の後。ならばできちゃったとはいわないのか。

「とにかく! 羨ましい〜! 旦那ちゃんに今夜おねだりしよっかなぁー」


 彼女は喜んだ。早速ことほぎのメールを送り、赤飯を炊いて義姉をたずねた。




「げほ、げほっ」


 そして数日がたち、彼女は仕事を休んだ。なんだか体調がおかしかった。先月から全身を倦怠感が襲い、咳が続いていた。風邪だと、すぐよくなるだろうと楽観していたのがいけなかった。ついに高熱を出したのだ。


「立てない……匍匐前進しかできないなんて……たくしぃ……よばなきゃ……」


 タクシーを呼び、ほうほうのていでかかりつけの内科を受診し、くだされた診断は――原因不明。繁忙期によるストレスが原因だと考えられなくもない、首をかしげる医師に診断された。

 結局その日は熱冷ましの頓服薬等を処方され、彼女は帰宅した。どこかふにおちなったけれど、医師がそういうのだからそうなのだと。





「――あら、痩せたの?」

 いつのまにか、そんな言葉が会う人会う人の決まり文句になっていた。

 謎の高熱をだしたあの日から、彼女は体調を崩し始めた。

 原因が不明の謎の全身の湿疹、原因が不明の謎の震えなどなど。頭痛も、腰痛も、筋肉痛も、全身が痛みを襲う。病院に通っても、どこもかしこも原因が不明ではっきりせず、ストレスの疑いといわれた。


「何で、何で?」


 しかし繁忙期も終わり、仕事は順調でストレスなどない。生活も、ない。なら、なぜ。

 体調が不調になってから半年が経過した。彼女は最早薬づけであった。湿疹の塗り薬が突如肌にあわなくなり、治りかけていた肌が悪化した。彼女は完治など諦めかけていた。

 そんな時だった。


「――あんた、それどうしたんだよ?!」


 久々にあった同級生は、彼女を見て途端に顔を血相を変えた。問答無用で、さらに無言で焦る同級生に神社へ連れていかれた。地元では有名な厄除けに強いと評判の神社であった。

 そして、同級生は宮司に彼女を紹介した。

 宮司は、同級生の親類であった。同級生に似た面差しの初老の宮司は、彼女を見てすぐさまに厄払いを、とやはり問答無用で厄払いをした。

 ――なんやかんやと、体調の悪い彼女は流されるままに厄払いを受けた。既に抵抗したりする気力も体力も精神も無かった。


「どうだろう、体は軽くないかね?」


 いざ祓われたあと、彼女は体が軽いのを感じた。あんなにあった倦怠感も、吐き気も、何もなかった。心なしか湿疹も落ち着いているような。


「何で?」

「それは――……、君、多分……吸われていたようだね」


 不思議だと首をかしげる彼女に、宮司は説明をした――いわく、彼女は運命やら気力やら体力やらを吸われていたらしい。


「そんな話……」


 なんともオカルトで、非現実的な話ではあったが、どことなくふにおちる話ではあった。違う医師が皆匙を投げた体調不良は、そんな突拍子もない話でないと納得がいかないのだ、極端なところ。


「でも、何に?」


 彼女は気になった。吸われたと仮定して。もし、そうだとしたら――いったい、何に?


「……君、聞いても後悔はしないかい?」


 宮司は、少し言いにくそうに話を切り出した。


「何ですか。知りたいです!」


 彼女は知りたかった。ここしばらく彼女を苦しめていたかもしれない、そんな可能性を、その原因を。医師が診きれなかった、しかし門外漢の宮司にわかるそれを。


「君、身内に妊婦さんはいるかい?」


 宮司はぽつ、ぽつと、彼女の様子を見ながら語り始めた。


「感じるのだよ……」


 宮司には、彼女の後ろに――感じたのだという。何かがいる、と。強く強く彼女を吸っている何かが。

 いきなりホラーな展開になったため、彼女は隣にいる同級生の手を強く握った。同級生は彼女を安心させるかのように、強く、強く握り返した。

 彼女は、この世に生まれようとしている何かの、栄養源みたいな扱いになっていた……らしい。それはあまりにも強く、彼女から吸いとった。なぜ、吸いとるのか、なぜ、彼女なのか、それは、何者なのか――それはわからないと宮司は真剣に語る。しかし、彼女が強い生命力を持っているのは確か。だから、なのかもしれないと宮司は締めくくり、彼女にひとつの厄除け守りと破魔矢を渡した。





「あなたも、気付いたから、連れてきてくれたの?」

 神社からの帰り道、彼女は同級生に問うた。同級生は頷いたことで肯定した。


「なんか、いたから」


 彼女は同級生に何が、とは怖くて聞けなかった。

 彼女は、厄除け守りと破魔矢が入った白い手提げの紙袋を持つ手に力を込めた。

 ――彼女の頭の中で、宮司の言葉が繰り返し繰り返し流れていた。


『君、身内に妊婦さんはいるかい?』


 彼女の身内にいる妊婦、それは義姉しかいなかった。


「まさか」


 笑って済ましたかった、しかし笑えなかった。だって、彼女が体調を崩し始めた頃と――義姉が妊娠したのは合致するのだから。

 背にうすら寒さと流れる冷たい汗を感じ、彼女は――暦上は秋だけれど、暑い秋と言われていた――暑いのに震えてしまった。





 そのあと、彼女は離婚した。彼女の体調を顧みなかった旦那に愛想をつかしたのもあるが、姑に体の弱い子も望めなさそうな女は要らないといわれたのもある。

 けれども、それもいくつか理由のひとつかもしれない。

 彼女が別れた理由、それは――



『君、身内に妊婦さんはいるかい?』


 義姉の腹の子と縁を切る、それが大きかったり――するのだ。

 腹の子が成長するにつれ、比例し体調を崩していた。

 別れてから、彼女は体調が戻り、全快したという――






※一部、実体験です。山藍摺、後から吸われてたといわれました。作中ではふれませんでしたが、双子です。離婚してから体調は戻りましたが……気のせい、かもなので双子ちゃんごめんなさい。

でも倦怠感とか湿疹の診断は一緒ですよー。


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