母と私
アクセス数の多さにビビってます。
百人アクセスあればいいやーと思ってたので、
ビビり度が尋常じゃありません。
何でこんなに多いんですか!?!?
……胃が痛い。
ぐっすりとお昼寝し、目が覚めた私は今、母に本を読んでほしいとねだっていた。読んでもらう本は、さっきまでメイラに読んでもらっていた、あの本である。
「かあしゃま、だめでしゅか?」
ちなみに、お願いは渋った母に上目づかいで目をちょっと潤ませて頼んだらあっさりと了承を得られた。わーい、母よ、好きだ。
今、母は部屋に置いてあったソファに腰かけ、その膝の上に私を乗せて本を読んでくれている。ついでに言うと、父はその横でにこにことほほ笑んでいる。父、何が楽しいの?
まあ、気にしない。だって今は、母がメイラと同じように一文字一文字を指で追いながら読んでくれているのだから。
「すると、草むらから一匹の犬が………」
「わんわ!」
「そうね、わんちゃんよ。可愛いのよ」
……って、また同じ場所で反応してしまった。だって、犬だもん、可愛いもん。
「さ、続きを読んでいきましょうね」
そうしていると、にっこりとほほ笑んだ母が私の頭を撫でて、そう告げる。うん、続き続き!
そしてそれからも母はゆっくりと文字を追いながら本を読んでくれ、母が疲れたら父が交代して読んでくれた。父が読んでくれたときは、父の膝の上に移動させられたのはもはや言うまでもない。父の膝は、固くてお尻が痛かった。
「こうして、幸せに暮らしていきましたとさ。お終い」
「おちまい?」
「そう。終わりね」
「もう、おちまいなの?」
その後、すべて読み終えた後、母が笑顔で終わりという言葉を告げると、なぜか突然、無性に寂しくなってきた。なぜかは分からない。でも寂しくて、体を動かして母に抱きついていた。
「あらあら、どうしたの? ライカ」
「わかんにゃい」
「………寂しく、なった?」
「うん。しゃみちい」
「大丈夫。あなたのそばには絶対に、誰かがいますからね」
母よ。そう言われても、なぜか悲しいのですよ。だから、今はどこかに行っちゃわないでほしいのです。そばにいてほしいのです。そばにいて、そして抱きしめてほしいのです。
それが、行動にも反映されてしまったのか、無意識に母に抱きつく力を強めていたらしい。
「ライカ、少しだけ苦しいわ」
母から軽い文句が飛んできた。………まあ、母は笑顔ではあるが。
「大丈夫。今日は、ライカが夜に寝るまで一緒にいますからね」
そうしていると、私を落ち着かせるためか本気かは知らないが、まだ、少なくとも今は一緒にいてくれるという言葉をくれたので一安心。母に抱きつく力を少し弱めた。
だが、やはり母からは離れない。べったり、しっかり、がっつりと引っ付いたままだ。
ちなみに、父は途中で臣下の人が迎えに来て、お仕事に行ってしまった。抵抗していたが、その臣下の人が問答無用で黙らせた。そして連行。
「いぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドップラー効果を起こしながら、父はすごい速度で連行されていった。自覚はなかったが、その時の私の顔は随分ときょとんとしていたらしい。後に母から、
「あの時のライカは、きょとんとしてて本当に可愛かったわ」
と、言われるほどに。
ちなみに、私のそのきょとんとした表情は、それを笑顔で見送った母が、
「さあ、続きを読みましょうか」
そう言った瞬間に私が笑顔で
「つじゅき!!」
と言ったことによって終了した。その後も楽しく本を読んでいただきました。
そして今は、そばにいてくれると宣言した母の膝の上で、母と一緒にお茶菓子をつまみつつ、お茶を飲んでいます。まあ、私のは飲みやすいようにミルクが入っているんだけれども。お茶菓子も、食べすぎたら夕食が入らないからと、ちょっとしか食べさせてもらえないけども。
ついでに言うと、今私の膝の上にはこぼしてもいいようにと布が置いてある。こぼさないようにと頑張っているんだけれども、やはり気が付いたら布にお菓子のカスがたくさん落ちていたり、濡れていたりしている。こぼししすぎた時は、もう自分で飲むのを諦めて母に飲ませてもらっているが。
「あ、こら。ライカはもう食べちゃいけません。今食べたら、夕飯が入らないでしょう」
「やー! もっと」
「ダメ。残りは、また明日ね」
「や! いまたべゆ!」
そうやってはむはむと食べていると、突如食べていたお菓子が母に奪い取られた。文句を言ってもそのお菓子はもらえなかったよ。残念。
でもですね? 諦めないよ。食べたいもん! もっと食べるっ!
「かあしゃま、ちょーらいっ?」
というわけで、上目づかいで懇願のお時間です。母よ、食べたいな?
「そんなに可愛い目で見てもダメよ。お腹を壊すからね」
「たべゆもぉん!」
「ダメったら、ダメです」
「たべゆ!」
「ダメ!」
「たーべーゆっ!」
「ダメって言ってるでしょう」
「う………えぇえぇぇ。たべゆもぉぉぉん」
だが、母はどうやっても食べさせてくれなかった。それがあまりにも続くためか、つい、涙が浮かんできた。
「ああ、泣かないでライカ。泣いても、食べさせてあげられないからね」
「ぴにゃあああぁぁぁぁぁぁああ!!」
だが、その上でさらに否定されたので、号泣。その泣き声に気が付いたメイラが、急いで宥めに来てくれた。母は申し訳なさそうだ。
「ライカ様、泣き止んでください。ほら、大丈夫ですよ」
「ふぎゃにゃあああぁぁぁぁあ!」
「落ち着いてください。泣きすぎたら、後から熱が出るかもしれませんよ」
「いにゃあぁぁぁああぁぁ!」
嫌と答えたかったのが、何か変な泣き声になった。でも泣きやめない。小さい子供って、一度泣くとなかなか泣き止めないのね。
そうして泣いている間、母も心配そうにメイラに宥められている私を見ていたが、口を挟めはしないようだった。
そして気が付いたら、ぐっすりと眠っていたらしい。目が腫れてて、視界が悪かった。まあ、寝ている間に目元を冷やしてくれていたらしいが、それでもまだ見えづらかった。
「ああ、目が覚めたのね、ライカ。大丈夫?」
「かあしゃま~。目が、目がぁ~」
「氷を持ってきて、冷やしましょうね。楽になりますから」
「ふみゃあぁ、かあしゃまぁ~」
「もう泣いちゃダメよ。泣いたらまたひどくなりますからね」
近くに母がいることを見えづらい目で何とか認識して、すぐに飛びつく。泣きつきたい気分だったが、泣いたら目の腫れがさらにひどくなると母に脅されてやめた。だが、ぴったりと引っ付いてはいる。
だが、母は侍女たちに指示した氷が届くとすぐに私を抱き上げてベッドに降ろして寝かしつけられる。そしてその目の上にタオルを置いて氷を置く。ひんやり~。
「こうやって冷やせば腫れも引きますからね」
「かあしゃま、このお目々、よくなる?」
「もちろんよ」
横にされながら、目を冷やされながらも母からは離れないために、母の服をしっかり掴む。
「大丈夫よ、ライカ。そばにいますよ」
「でも………」
「かあしゃま~」
「大丈夫よ、大丈夫」
「でも……」
「ふええええぇぇぇえ」
「ああ! 泣いちゃダメよ。ひどくなりますからね」
それでも、どうしても不安を拭いきれずに母に泣き付くと、ひどくなるからという言葉と共になでなでを頂戴した。おかげで落ち着くけれども。
そうやってしばらく冷やしてもらい、一度氷とタオルをどけてもらうと、いきなり明るくなったため最初はまぶしかったのだが、視界は先ほどと比べてかなり良くなっていた。
「うん、腫れも引いたわね」
「あい!」
「やっぱりライカには笑顔が似合うわね。ほら、もっと笑ってちょうだい」
「あい!」
そのため、母の希望に沿ってにっこりとほほ笑んだ。母、好き! 大好き!
「――――――もうダメっ! ライカったら可愛すぎるわっ!」
「かあしゃま、だいしゅきっ!」
「母様も、ライカが大好きよ」
ちなみに、この私と母の告白だが、後から話を聞いた父が自分にも言ってほしいと訴えに訴えに訴えてきたので、母同様、笑顔で大好きと言ってやった。この時期の娘って、将来パパと結婚する~とか言うからね。好きくらい、言えますとも。実際好きだしね。………………ただ、ちょっと恥ずかしいかな。
でも、言わないと父がとっても悲しそうだったので、若干渋々ながらもそれを顔に出さないよう努力して笑顔で母と同じように愛を紡いだ。
「ライカは何て可愛いんだぁぁぁぁぁぁあ!」
父よ、笑顔が素晴らしすぎる。イケメンですね。
でも、その崩れた表情は残念だよ。残念すぎるよ。
「かあしゃま、とおしゃまこあい」
結果、父の愛情が尋常じゃなく恐ろしくなったため、てとてとと効果音を立てながら母に泣き付くこととなった。
「殿下」
そして母はその一言で父を硬直させた。こええ。
硬直した父は、尋常じゃなく怒った父の臣下によって、引きずられていったよ。その時の私の表情も、きょとんとしてたらしいです。
「ご迷惑をおかけいたしました」
臣下の人が父を引きずり去って、それからもしばらくきょとんとしていた私だったが、いきなり母にぎゅうっと抱きしめられてもとに戻った。母、好き。
「ライカ」
「なぁに?」
「大好きよ」
「ライカも、かあしゃまだいしゅき」
そしてその後は、二人で好きという言葉を紡ぎつづけた。
そして、母は予告通り寝るまで一緒にいてくれた。一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒のベッドで寝た。
しあわせー。
母攻略。
次回、兄攻略の時間です。