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兄が私を認めるまで  作者: 神埼未来
三歳児編
13/28

メイラと兄


ライカお昼寝中につき、

兄とメイラ。


 フォルトが本を読んでやり、ライカがぐっすりと眠ったことを確認すると、フォルトは静かに席を立ち、近くにいた侍女にさっきまで読んでいた本を手渡す。

 そして、部屋を出ようとしたところで、その扉の所にある人影に気が付いた。


「フォルト様、よろしいでしょうか」

「あいつの専属侍女か。何だ」

「なぜ、フォルト様はライカ様に冷たく当たられるのですか? ライカ様は、純粋にフォルト様を好きでいらっしゃいます。それなのに、どうしてあなた様はライカ様をあんなにも悲しませるのですか?」

「お前には、関係のないことだ」

「ええ、関係のないことです。ですが、ライカ様が泣いて戻って来られるのを、これ以上見たくないのです」

「なら、あれを僕の部屋に来させなければいいだろう」

「そうすれば、また、泣かれるのです」


 メイラはフォルトを捕まえて、ライカが起きないよう少し小さな声でフォルトに話しかけた。

 内容は、フォルトのライカに対する態度。どうしてあんなにも冷たい態度をとるのか、と。

 ライカはフォルトに会いに行くと、泣いて帰って来ることが多かった。冷たい態度をとられ、無視されて。そのたびにメイラは心を痛めていたのだ。

 そのことで、フォルトと話したいとは思っていた。だが、ライカの専属侍女である彼女は、めったにフォルトと会うことはない。ゆえに、話す機会のできた今、逃すつもりはなかった。


「フォルト様、ライカ様は妹君でしょう。それなのに、どうして……」

「僕は、あれを妹と考えていない」

「どうしてっ!? 妹君でしょう」

「違う。あれは正統なる王家の人間。僕の半分は、農民だ。僕とあれは、なれ合っちゃいけないんだ」

「どうしてですか。フォルト様、あなたとて第一王子殿下のお子。立派な王族であらせられます」

「違うんだ。違うんだよ――――僕は」

「違いません。フォルト様も、立派な―――――」

「それ以上言うな」

「―――――申し訳ございません。一介の侍女如きが差し出たことを申しました」

「分かればいい。このことは、あれには言うなよ」

「もちろんでございます」


 そして最後はメイラが負け、二人で天使のような寝顔をしたライカを一度見て、そしてフォルトは部屋へと戻って行った。


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