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兄が私を認めるまで  作者: 神埼未来
プロローグ
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プロローグ


処女作です。

至らない点等、ございましたら

ご指摘くださいませ。



「認めない! こいつは、僕の妹じゃない!」


 ある日、目が覚めたら無駄に大きな声が聞こえてきた。が、こんな声、聞き覚えがないんだけど、誰だろう。そう思い、目を開けようとしたのだが、目は開かない。その上、なんか眠たくなってきた。

 と、そこでぐっすりと眠っていたのだが、その後、異常に空腹を感じて目が覚めた。


「ふえっ」


 な、泣かないよ!? いくらなんでも、この年になってお腹が空いたからって泣かないんだから!!


「ひうっ………」


 な、泣かないもん! 泣かないんだからっ!!

 ―――――でも、もうダメ涙出るぅ!!!


「ふみゃあぁぁぁぁぁああぁぁぁあ!!」


 そうして大泣きしていると、ばたばたと足音が聞こえる。その音が静まると、私の体は宙に浮いた。

 …………というか、抱き上げられた!? え? え? どういうこと!?

 そうやって私が心の中で動転している間に、口の中に何かを入れられる。あ、そこから甘くておいしいのが、口に流れ込んでくる。んまー。

 そして、すべてを飲み終えると背中をポンポンと叩かれる。


「げふっ」


 げっぷが出ると、今まで何か息苦しい感じだったのが一気に楽になった。その後は再び降ろされる。


 っ て い う か。

 私、今赤ん坊になっちゃってるんですか? さっき飲まされたのって、多分ミルクだよね? あ、おいしかったです。

 とどめを刺すと、ミルクを飲んだ後に背中を叩かれてげっぷを出させるのってばっちり赤ん坊に対してすることだよ。

 ……えっと、私のこれって、いわゆる転生とかいうヤツですか? …………って、私死んだの!? え、何で!?


 赤ん坊の脳で、そんな難しいことを考えていたからだろうか。異常に、眠たくなってきた。………ぐう。


 それからしばらくして、ようやくしっかりと目が開き、周りが見えるようになった………のだが、びっくりだよ! 多分母親? っていう人、金髪だよ、目が緑だよ!

 ついでに言うと、やっと少しずつではあるけれど、言っていることが分かってきた。

 転生した私の名前は、


「ライカ」


 というらしい。しょっちゅうその言葉が出ていたので、多分それが名前なんだと思う。間違ってたら悲しいけど。


「ライカ様、今日は父上様と母上様、兄上様にお会いいたしましょう。起きていてくださいませね」


 ある日、突然私が母親と思っていた金髪の女性にそう言われて、目を真ん丸にする。この人が母親じゃなかったの? 違うの?

 そう思いながらベビーベッドで待っていると、三人の男女が部屋を訪れる。

 おそらく父であろう男性は、明るい茶色の髪に、少しくらい茶色の瞳。年はおそらく二十代中頃くらいだと思われる。

 おそらく母であろう女性は、明るい銀色の髪に、紫色の瞳。年はおそらく、父と同じくらいだろう。

 そして最後、兄であろう少年は、父と同じ明るい茶色の髪に、灰色の瞳。年はおそらく、十にもなっていないだろう。


「やっと、お前が起きた状態で会えたな。俺がお前の父だ。お父様と呼んでくれ」

「私が、あなたのお母様よ。ライキアーナ。ライカ、私の愛しい子」


 まず、父と母が自己紹介をする……のだが、それって赤ん坊に対してすることかな? まあ、今の私には助かるからいいんだけれども。

 そして、両親の紹介が終わると父が兄の紹介に移った。


「そして、そこの子がお前の兄だよ。フォルト、この子がお前の妹だ」

「違う。僕は、こいつを妹とは認めない!!」

「フォルト! 何を言っているんだ!!」

「認めない! 絶対に認めない! こいつは、僕とは何も関係ないっ!!」


 ……で、どうしてこの兄は最初から敵愾心に塗れてるんですか? 両親が私を見る目は優しいのに、この兄が私を見る目は剣呑すぎる。赤ん坊には怖いよ。

 そのせいか、気が付いたら大泣きしていた。それはそれは、盛大なぎゃん泣きだ。


「フォルト! 部屋に戻っていなさい! 今日は部屋から出ることは禁ずる!」

「大丈夫、大丈夫よライカ」


 その間に兄というフォルト少年は、部屋を出て行ったらしい。

 大体、何なんだあのフォルト少年は。いきなり、初めて会った赤ん坊に対して認めないだ何だと。普通の赤ん坊なら、最初の罵声の時点で大泣きしてるよ? 私でよかったと思え、フォルト少年!

 ………とか、心の中で強がっている私だが、現在赤ん坊であるこの身体は、いまだに大泣きを続けている。


「ふやあぁぁぁぁああああ!!」

「大丈夫だからね、ライカ。ほーら、いい子いい子」


 いやいや、ごめんなさい母よ。泣きやもうとはしてるんだけど、全然泣き止めないんだ。


 そうやってずっとぎゃんぎゃんと泣き続けて、ようやく体力の限界が訪れたのか、睡魔に襲われる。

 うん、もう抗わない。寝る。おやすみなさーい。ぐう。


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