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【全自動DIY】ホームセンター店員、意思を持つ「家」に転生する。〜釘一本から始める異世界建築、気づけば究極の魔導城になっていた〜  作者: ねこあし


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第4話 不法侵入お断り、現場の洗礼は接着剤と滑水ワックスで

「……来た。あの人たちの、冷たくて嫌な魔力の匂い……」


 ミアがガタガタと震えながら、俺のキッチンカウンターにしがみつく。


 俺の「振動センサー」は、さらに詳細な情報を伝えてきた。馬三頭、歩兵六。装備は軽装だが、手慣れた足取りだ。おそらく帝国の「逃亡奴隷回収班」といったところだろう。


 外から見れば、ここは今にも崩れそうなボロ屋。


 奴らはきっと、扉を一蹴りすれば終わると思っているに違いない。


(……甘いな。ホームセンターの資材をナメるなよ)


 俺は即座に、掲示板の文字を更新した。


『ミア、落ち着け。パニックはDIYの大敵だ。棚の下にある「赤いレバー」を引け。それがお前の「迎撃開始」の合図だ』


「えっ……赤い、レバー……?」


 ミアがおぼつかない手つきで、俺が急造したキッチン下収納のレバーを引く。


 ガコン、という重厚な手応え。それが俺の「戦闘モード」への切り替えスイッチだ。


「おい、こんなところにボロ家があるぞ! 奴隷の足跡はここで途切れている、中に隠れているはずだ!」


 外から野太い声が響く。


 一人の男が、薄汚れたポーチのタイルに土足で踏み込んだ。


(よし、ターゲット1、侵入)


「なんだ……? ぐわっ!? 足が、動かん!」


 男が悲鳴を上げた。


 俺がタイル表面に充填したのは、工業用の「超強力瞬間接着剤」を魔力で強化した特製品だ。


 通常、接着剤は硬化に時間がかかるが、俺のスキルは「硬化速度」も自在。踏んだ瞬間に靴底とタイルを分子レベルで一体化させた。


「何をしてる! 早く入れ!」


「ダメです、剥がれません! まるで地面と一体化したみたいに……ああっ、手が! 手もくっついた!」


 助けようとした仲間の手も、柱に触れた瞬間に固定される。


 一度くっつけば、皮膚が剥がれるか、タイルを砕くしかない。


(次は、強行突破を図る奴らへの対策だ)


「ラチがあかん、扉を壊せ!」


 残りの三人が、接着剤の地獄を飛び越えて玄関ドアへ体当たりをかます。


 だが、彼らが扉に触れる寸前――。


 俺は玄関マットから扉の前にかけて、極限まで摩擦係数をゼロに近づけた「超滑水性シリコンコーティング」を瞬時に施工した。


「ぬおっ――!?」


 一歩踏み込んだ男たちの足が、氷の上の数倍も滑る床にさらわれる。


 摩擦が完全に消失した空間。彼らは面白いように姿勢を崩し、盛大にひっくり返った。


(おっと、そこは『接着剤エリア』との境界線だぞ?)


「あぎゃあああ! 顔が! 顔が地面にくっついて離れないいい!」


 見事な連携だ。滑った勢いで、今度は顔面がタイルに「永久固定」された。


 シュールな光景だが、やられている本人たちにしてみれば、二度と顔が上がらない恐怖のトラップだろう。


「な……なんなの、この家……」


 ミアが、掲示板の横に投影された「外の様子(マジックミラー投影)」を見て、呆然と呟く。


『これがDIYの力だ。ミア、仕上げだ。掲示板の横にある「霧吹き」を、外に向けて投げろ』


 俺は彼女の目の前に、魔力で精製した「硬化促進剤」の入ったスプレーボトルを出現させた。


「わ、わかったわ……えいっ!」


 ミアが震える手でボトルを玄関の隙間から放り投げる。


 俺は空中でそのボトルを魔力で破裂させ、霧状の液体を散布した。


 シュオォォォッ!


「ぎゃあああ! 熱い、熱いぞ!?」


 接着剤が促進剤と反応し、急激な重合反応による熱を発する。


 男たちは熱さと、完全に自由を奪われた恐怖に、戦意を喪失して泣き叫んだ。


『プロの現場では安全第一。だが、不法侵入者に保証する安全はない』


 俺が掲示板にそう表示させると、ミアは小さく笑った。


 その笑顔には、もう怯えの色はなかった。


「……仙太さん、すごい。私、初めて……あいつらに勝てた」


(まだ終わりじゃない。こいつらをどう処理するか、そして、この後の『掃除』が大変なんだよな。接着剤の剥離剤を作るのも一苦労だ)


 俺は、悶絶する帝国兵を眺めながら、次なるリフォーム――「捕虜収容用の地下室」の設計図を引き始めていた。

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