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【全自動DIY】ホームセンター店員、意思を持つ「家」に転生する。〜釘一本から始める異世界建築、気づけば究極の魔導城になっていた〜  作者: ねこあし


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第18話 商船メルカトル号の緊急リフォームと、空のギルド登録

「……おい、夢じゃないよな? 家が……家が空を飛んで、ワイバーンを接着剤で固めて落としたぞ……」


 ボロボロの商船『黄金の突風(ゴールデン・ゲイル)号』のデッキで、恰幅のいい商人、ガリウスは震える声で呟いた。


 目の前には、白銀に輝く巨大な「家」が、重力を無視してホバリングしている。


『――お待たせしました。緊急メンテナンスのお時間です』


 家の外壁に設置された巨大なスピーカー(音響魔法増幅器)から、穏やかな、しかし拒絶を許さない声が響く。


 タラップがガシャンと繋がり、そこから現れたのは、清楚な少女ミアと、不敵な笑みを浮かべる魔導工学者アウラだった。


「初めまして。私たちは、空飛ぶホームセンター『エデン』のスタッフです。……早速ですが、お見積もりを」


 アウラが差し出したのは、羊皮紙ではなく、ホログラムで投影された「修理プラン一覧表」だ。


【緊急救助&リフォームプラン】


エンジン心臓部:雷精の涙を用いた高効率化 …… 金貨50枚 or 同等のレア素材


船体補強:天空銀による緊急溶接 …… 金貨30枚 or 未知の種子


おまけ:リリ特製、高高度でも酔わないハーブティー …… サービス


「な、なんだこの数字は!? 高すぎる!」 ガリウスが叫ぶが、その目は『エデン』の外装――自己修復を繰り返す白銀の装甲を、舐めるように観察していた。


(……この技術、もし手に入れればメルカトルどころか、大陸全土の物流を支配できる。この少女たちを懐柔するか、あるいは……)


 ガリウスの瞳に、商人特有の「底知れぬ欲」が宿るのを、OSリンクを通じて(仙太)は見逃さなかった。


『……ガリウスさん。あなたの頭の中の計算機、少し音が大きいですよ』


 家のモニターに、皮肉げな笑みを浮かべた俺のアバターが表示される。


『うちは「お客様」は歓迎しますが、「略奪者」には容赦しません。……アウラ、見せつけてやれ』


「了解、店長。……えいっ!」


 アウラが指を鳴らすと、エデンの精密マニピュレーターが伸び、商船の壊れた魔導エンジンを掴み上げた。


 そして、先ほど回収したばかりの「雷精の涙」を砕き、エンジンの燃焼室に瞬時に組み込む。


 一瞬、船体が青白い閃光に包まれた。


 次の瞬間、止まっていたエンジンが、以前の三倍以上の力強い鼓動を刻み始める。


「な、なんだこの出力は!? 燃費が……いや、魔力消費が劇的に減っている!?」


「これが私たちの技術です。……さて、代金ですが。お金よりも、あなたの船の倉庫に眠っている『ガラクタ』を見せていただけませんか?」


 リリが案内したのは、船の奥底。


 そこには、ガリウスが「価値がない」と判断して放置していた、黒ずんだ巨大な骨や、奇妙な多面体の石が転がっていた。


「それは……昔、北の『浮遊島』の残骸から拾った、ただの化石ですよ」


『……いいえ。それは「飛竜の化石化した浮袋」だ。……これがあれば、わが家の浮力維持コストをさらに30%カットできる。……取引成立だ』


 俺の鑑定眼(ホームセンター店員の目利き)が、お宝を見つけ出した。


 ガリウスは、自分たちがゴミだと思っていたものが、この「家」にとっては黄金以上の価値を持つことに愕然とした。


「……負けましたよ。あなた方はただの魔法使いじゃない、真の『鑑定士』だ。……認めましょう。メルカトルの商船ギルドとして、あなた方を『空の移動中立商域』として暫定登録します」


 ガリウスは懐から、金色のバッジを取り出した。それは、商業都市メルカトルが認める「自由交易権」の証明。


「これがあれば、我が国へ入港する際の税が免除されます。……その代わり、今度私たちの本店のリフォームも、ぜひお願いしたい」


『……喜んで。ただし、DIY用の工具一式は、こちらで用意させてもらいますよ』


 こうして、俺たちは帝国だけでなく、大陸最大の経済圏「メルカトル」とのパイプを手に入れた。


 商船を見送った後。


 夕焼けに染まるデッキで、ミアが俺のコアにそっと触れた。


「仙太さん……。また、新しい『繋がり』ができたね。……ねぇ、いつか、この空の下にいるみんなが、お家で笑って暮らせるようになるかな?」


『ああ。……そのための「ホームセンター」だからな』


 わが家は、次なる目的地を「北の浮遊島群」に定めた。


 そこには、空の生態系の謎と、さらなるレア素材、そして――俺たちの存在を快く思わない「空の騎士団」が待ち構えていることも知らずに。

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