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序章(プロローグ)
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
世界から色が失われて、二年が経つ。
かつて空の青さを映していた川は枯れ果て、大地はひび割れた唇のように乾ききっていた。生命の源である雨が止んで以来、世界はゆっくりと、しかし確実に死へと向かっていた。水は黄金よりも価値を持ち、一握りの穀物のために人々は武器を取った。かつて隣人であった者たちが互いの喉に刃を突き立て、国々は枯れた資源を奪い合う泥沼の戦争に身を投じていった。
ここルナリア王国も例外ではなかった。比較的豊かであったこの国も、永続する干ばつと終わりの見えない戦争によって、その貯蔵庫はついに底をつきかけていた。城壁の外では飢えた民のうめき声が響き、宮廷では貴族たちが痩せこけた顔で互いを疑いの目で見つめ合っていた。天に見放されたこの時代、人々は神の存在を疑い始めていた。祈りは届かず、希望は乾いた土と共に風に舞い散っていく。誰もが、世界の終わりを予感していた。
その夜、王宮に一人の女児が生まれた。
まるで、その誕生を祝福するかのように、厚い雲が空を覆い、乾ききった大地に涙のような雨粒を落とし始めた。それは慈悲のように、あるいは罰のように、三日三晩、降り続いた。




