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第16話:狼の牙

第16話:狼の牙

濮陽城の裏門は、完全に油断していた。天狼隊の突然の奇襲に、守備兵たちはなすすべもなく倒されていく。

「門を開けろ!」

劉星の号令一下、周倉たちがその怪力でかんぬきを破壊し、裏門をこじ開けた。

そこから、劉星が率いる本隊が、城内へと雪崩れ込む。

「城内に、敵だ!」

「裏門が、破られたぞ!」

城内は、一瞬で大混乱に陥った。

「よし、ここからは狩りの時間だ! 敵の指揮系統を叩き、混乱を広げろ!」

劉星の命令を受け、天狼隊は、蜘蛛の子を散らすように、城内の路地裏へと散っていった。彼らは、正面から戦うことはしない。伝令を狙撃し、物見櫓に火を放ち、敵の部隊長を暗殺する。その神出鬼没な戦いぶりに、呂布軍は翻弄された。

「な、何だ、あいつらは! 幽霊か!」

この天狼隊の活躍により、城の正面で苦戦していた夏侯惇の本隊は、息を吹き返した。敵の指揮が乱れたことで、曹操軍は勢いを取り戻し、次々と城壁に取り付いていく。

だが、その時。城の中央から、地響きのような雄叫びと共に、一団の騎馬隊が、凄まじい勢いで突進してきた。

その先頭に立つのは、燃えるような赤兎馬に跨り、禍々しい方天画戟ほうてんがげきを構えた、一人の鬼神。

飛将・呂布、本人だった。

「雑魚どもが、調子に乗りおって! この俺が、まとめて地獄へ送ってやるわ!」

呂布の武は、まさに圧倒的だった。彼が方天画戟を一振りするだけで、曹操軍の兵士が、数人まとめて吹き飛ばされる。

その呂布の前に、一人の将軍が、敢然と立ちはだかった。

夏侯惇だった。

「呂布! 貴様の好きにはさせん!」

二人の猛将が、激突する。壮絶な一騎打ちが始まった。だが、やはり呂布の武勇が、わずかに上回っていた。

激しい打ち合いの末、夏侯惇の兜が、呂布の戟によって弾き飛ばされた。

そして、その隙を狙って、呂布軍の兵士が放った一本の矢が、夏お惇の左目に、深々と突き刺さった。

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