5話
ガイウスは一瞬怒ったように見えた。
いや、怒っているように見えた。
そして、俺にすべての経緯を問いただすような雰囲気が漂った。
俺は何の解決策も持っていなかった。緊張で喉が渇き、怯えた心を抑えようとした。
『サッ』
顔をこわばらせたガイウスは、視線を後ろに静かに立っているクラウディアに向けた。
そして、沈黙が訪れた。
その中で二人は意味深な視線を交わした。
部外者の俺には想像もつかないような目の会話が終わると、クラウディアは小さく頷いた。
そして、大きな喪失感を抱いたガイウスは唇を噛み、舌打ちをした。
「くそ…あの時…」
聞き取れない低い声で、ガイウスは自嘲と後悔が混じった独り言を言った。
「ふぅ…」
深いため息をつき、顔をこすったガイウスは、入ってきた時とは正反対の気落ちした様子で立ち上がった。
「いい。気にするな、よく休め、田舎者。」
『ズシズシ』
数歩歩いた後、突然立ち止まった。
「また来る。」
先ほどのクラウディアと同じように、複雑な感情が感じられる声と背中で、ガイウスは部屋を去った。
「はぁ…」
ガイウスと同じく、気持ちが重くなったクラウディアもまた、それ以上留まらずに去った。
扉の機能を果たせないほどに無理やり閉めた後だった。
全員が去ると、部屋は再び静寂に包まれた。俺の人生で最も慣れ親しんだ孤独を再び味わうと、懐かしくもあり、嬉しくもあり、ほろ苦かった。
多くの人がいたことで暖かくなった空気を深く吸い込みながら考えた。
『二人は気づいたようだな。』
何度もさっきの状況を振り返ってみると、気づかないはずがなかった。
以前との明らかな違い。まさに俺という異物がデミアンの身体に溶け込んで現れたからだ。
『人間は鈍感に見えるが、実際にはどんな計測器よりも精密で敏感だと言っていたな。』
俺は誰かの雑学に近いが、今のような普通ではない状況で役立つ話を思い出した。
『俺もそうだが…』
その話が荒唐無稽なものではないことを、俺も、そしてこの身体の元の持ち主であるデミアンと時間を過ごし、大切な思い出を築いた二人はすでに気づいているに違いない。
何度も頭の中であれこれと事実を想定し、シミュレーションをしても同じ結論しか出ない。
「ふぅ…」
一人で長く過ごしてきたせいで、こんな予想もできず、受け止めきれない現実が本当に重く感じられる。頭が痛むほどにずきずきする。
『逃げ場はどこにもない。』
いつものように、一つだけ同じ点があった。
自分の能力以上のことを求める難しい問題に対する解決策を諦めること。
そうすることで心が楽になり、慎重にベッドから降りた。
「うっ…」
冷たい床を踏むと、頭に重い痛みが走った。反射的に顔をしかめた。痛みが徐々に和らぐと、今では自分のもののように感じられるデミアンの部屋をじっくりと見回した。
今では薄れたが、俺の認識とは異なり、異様な感覚がする部屋。
そこで俺はデミアンが激しく生きてきた証拠を偶然見つけた。
『これは…』
医学用語と共に、患者の症状や治療経過が丁寧に記録された診療記録。
将来に備えて、患者ごとに処方された薬の量や経過が記録され、気づきにくい場所に保管されていた。
最後に、治癒が不可能で延命治療が最善の希少症状に関する記録もあった。
「本当に…『すごい男だ。』
人々のために骨身を削って尽くしたという事実。
それが俺を萎縮させ、自分が一生懸命生きてきた人生が本当に情けないと思わせた。
『ポトッ』
「ん?」
否定的な感情が頭を占めようとした時、書類の間から別の書類が落ちてきた。
今まで見てきた記録とは異質だった。
大きさから紙質まで、普通ではなかった。
『なぜこんなに隠したんだ?』
疑問は内容を確認するとすぐに解けた。
『今の事態を予測していた!』
診療記録の間に巧妙に隠し、自分だけが知る場所に記録を保管した理由。
弱点を敵対する者たちに知られたくなかったのだ。
『すべては魔道具にある…』
最悪の状況やマナの使い方、存在を忘れた場合にも備えていると記されていた。
「この記録が使われることがないことを心から願う…か…」
俺は一度も顔を見たことのない青年デミアンに感謝の気持ちを抱きつつ、彼の人生を奪ったことに罪悪感と重い気持ちを抱いた。
「うーん…」
魔道具の内容を確認するには、マナの存在を感知し、運用法を知ることが先決だった。
『一定の順序と微調整でマナを流し込むのはその次だ。』
さすがベルガルトで人々を助ける徳望ある医師だ。
デミアンの説明は、この世界と無関係な俺でも無理なく理解できるよう、簡単に説明されていた。
「こ、これか!」
数十分間、汗を流しながら努力した結果、元々知らなかったマナの概念と存在について悟ることができた。
「この順番で適切な量を流し込むんだと言っていたな。」
初心者には難しいことだと少し怖気づいていたが、心配をよそにすべてが順調に進んだ。
筋肉の記憶に動作が刻まれていた。
特別に思い出そうとしなくても、ウェイトトレーニングが自然に進むように、俺を導いてくれた。
いや、導かれたと言った方が正しいか。
「うっ!」
一瞬、視界に光が走り、頭が痛くなるほど多くの情報が流れ込んできた。しばらくすると、頭痛が嘘のように消え、情報を閲覧できるようになった。まるで手元で調べられるかのように。
『これがデミアンが魔道具に記録していた記憶か?』
コンピュータに保存されたファイルを探索するのとは比べ物にならないほど簡単で便利だった。
『これはすごいな。』
手を伸ばさず、視線を向けるだけで、その詳細を瞬時に把握できた。
そんな作業をスムーズに進めていた時だった。
『これは…!』
全く予期せぬ仮想空間で、馴染みのある名称を見つけた。
『勘違いじゃないよな?』
慣れ親しんでいるせいで、急いで見間違えたのかと思い、再度確認した。
そして、俺の目が間違っていなかったことを悟った。
「マグニフィコル…」
その場で待っていた情報を覗くと、馴染みのある肩書きが見えた。
知っている程度ではなく、親しい存在であり、自分と同じくらい詳しく知っている存在だった。なぜなら、彼は優れた能力で俺に協力し、同じ志を持つ同志だったからだ。