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第6話 カミーユ。
『目標があればいいのかしら?何がお望み?』
ブラウ語でカミーユに聞いてみた。涙目だ。まだ立ち上がってこない。脛を抱えて床でゴロゴロしている。折角のワンピースが汚れるわよ?今日もエンマが可愛く仕上げてくれたのに。
『望み?』
『そう。成功報酬があればきちんとできるのかしら?』
『・・・・・』
寝転がったまま、考え出した。
なんだ?宝石?お金?胸の大きいお姉さん?
ブラウ語はきちんと聞き取りもできるようだ。
『僕の母親はさ、王城の女中だったんだ。手籠めにされた、ってわけ。』
『・・・・・』
『生まれ故郷はさ、遠い田舎なんだって。日照りが続いて何ともなんなくて、親に売られて王城に働きに来たんだってさ。バカみたいな話だよね。』
『・・・・・』
『喰いきれないほどの料理、毎日のように新しい洋服、びっくりするほどの値段の宝石…ろくに働かないで遊んで暮らす貴族連中。』
『・・・・・』
『手籠めにされても声一つ上げれない。バカでしょう?』
『・・・・・』
天井をぼおっと見ながらカミーユが続ける。
『僕はさ、この国を壊したいな。』