第13話 夜勤番。
庭のあらゆるところにかがり火がたかれている。
エントランスも廊下もランプには灯がともっている。
王城は夜も動いているらしく、外からの一般の出入りこそなくなるが、使用人の出入りはある。
夜中に起きだして、弟と食堂で飯を食う。
「これは…何飯かなあ?」
「朝飯?」
「朝ねえ…。」
勤務の終わった奴らも来ている。少しなら酒もでる。
夕方からの勤務の奴らから引継ぎをして、廊下に立つ。
「昼夜逆転生活なんて、若いもんじゃないんだからさあ。」
「ふふっ。」
「余裕だな?」
「俺は騎士養成所に行ってましたから、夜中に突然叩き起こされましたよ。何分で所定の場所に来れるか、ってね。」
「はあ?まあ、夜襲の想定、って感じなのか?」
「でしょうね。」
あくびを噛み殺していたら…来たな。
弟も緊張している。
何を見ても、何を聞いても、無かったことにしろ、って指示のやつだな。
僕たちは、よくある飾り物の鎧兜のように…。
「やめろ!離せ!僕を誰だと思っている!!」
「王太子妃は体調がすぐれず、どなたともお会いしたくないと。」
「はあ?誰だおまえ?僕に命令するな!!」
「しかし、殿下…。」
「触るな!!」
王太子殿下の側使えが説得している。
昼間は顔色が悪くても、大声を出したりはしなかったけど。
弟と揃って頭を下げる。
廊下を足早に進んだ殿下は、王太子妃のドアの前でドアを叩きだした。
「開けろ!開けるんだ!!」
「殿下!」
「早く!早く開けろ!!」
命令系の口調が、だんだんとすがるような声に変わる。
「開けて。お願いだ、開けておくれよ…。」
30分ほどドアを叩いただろうか?
静かにドアが開けられる。
・・・すごいね、焦らし方。
そもそも、王太子妃としての公務をしているようにも見えない。
侍女の立ち話によると、殿下が夜じゅう離さないので、舞踏会やお茶会以外は免除されているらしい。
そこだけ聞くと微笑ましいが…実際はそんなもんじゃなさそうだな。
廊下に控えている俺たちには、あの部屋で何が行われているかまでは聞こえてこない。殿下は…朝方自室に帰られた。機嫌は良さそうだが、明らかに寝不足だろう。
さて。あと2週間でケリが付くのかな?




