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昼休みと...。

本作品が83位、短編が34位と、本当に皆さんありがとうございます!感謝の限りですよ!

 昼休みになった。どうせ、帰ってきたころには席がとられているんだろうなと思いつつ、俺は図書室に当番に向かう。何を隠そう、俺は図書委員なのだ。しかし、この学校の学校図書館の位置はうちのクラスと相性が悪い。うちのクラスがもっとも東端にあるのに対し、学校図書館はなんと西端である。往復するとなるとなかなかめんどくさい。


 ゆっくり歩いて1分ほど、とりあえず図書館にきた。


「流星くん、早かったね」


 ご飯も食べずにきたから誰もいないかと思いきや、同じ当番の笹島(ささじま) みくるさんがいた。


「みくるちゃんこそ、早いじゃん」


 みくるちゃんは典型的な文学女子って感じの見た目だ。髪の両方をみつあみにしていて赤いフレームの眼鏡をしている。


「本が好きだからつい早めに来ちゃうの」


 中身も想像通りの文学少女。それでいて見た目がオタク感とか一切なくて、アニメの中のキャラなんかと思うときがある。


「ご飯とかは食べないで大丈夫なのか?」


 俺はまぁ一人暮らしで適当にメシ抜いたりしてるから慣れてるけど。あれ、つーか今日俺弁当作ったくない?はぁ、後で休み時間に食べよ。


「最近ダイエット中だから...」


 高校生でダイエットはよくないって聞くけどな。


「そうか? だったら体調気をつけるんだぞ?」


「う、うん」


 なんか少し顔が赤いような気がしないでもないが、ダイエット関連の話なんて恥ずかしくてしたいものではないのかもな。


「そういえば、流星くんはなんでこんな早く?」


 え?強いていうなら...。騒がしいところで誰かと話すよりも、落ち着いたところで話がしたい気分だったからかな?


「んー、みくるちゃんと話がしたかったから、かな?」


 まぁそんなものだろう。そもそもみくるちゃんが先週から早めに来てたの知ってるしな。


「ふぇっ!?」


 んー...。やっぱり顔赤いよなぁ...。


「ほんとに食べなくて大丈夫なのか? 顔赤いぞ?」


 熱が出てたりしたら大変だ。確認した方がいいか?


「んやぁ!? 大丈夫だよぉ!?」


 なんか呂律も回ってないし、大丈夫じゃないなこれは。手の甲をみくるちゃんのおでこに当てると案の定。


「熱いな」


 これは保健室に連れて行った方がいいだろう。


「みくるちゃん、保険室行こうか?」


「う、うん。じゃなくて、えっと、これは違くてぇ!?」


 やばそうに見える。なんか手を引くと抵抗されてるけどこれは引きずってでも連れて行かないと心配だな。


「すいません、上新先生!」


 なんとか保険室までみくるちゃんを連れてきて、保険室の先生に呼びかける。すると保険室のドアが開いて、先生が顔をだした。


「なにごとかな?」


 俺はみくるちゃんの状態を説明する。


「へぇ?」


 上新先生は面白いものを見るような顔でみくるちゃんを見ると、あとは私が見ておくから君は戻っていいよと言ってくれた。


「よし、業務再開だ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 昼休みが終わり、予鈴と同時に教室へ戻る。結局みくるちゃんは戻ってこなかったので、やっぱり熱が出て帰ってしまったのだろう。これ以上体調を崩さないといいが。今日室に入るとやはり!めいが不法占拠をしていた。


「お前、もうすぐ授業だぞ...?」


 昼休みはとっくに終わっていて、今は予鈴の後の準備時間。つまりもうすぐ授業が始まるわけなんだが。


「あ、お帰り。なんか女の匂いするんだけど」


 謎の嗅覚をお発揮いただいた。


「いらないんだけどそういう超能力。だから早くもどれって。始まるから」


「げっあと1分じゃん! ばーい!」


 めいは調子に乗って帰り際に足をぶつけていた。痛そう。


 そろそろ授業が始まるわけだが...みくるちゃん、大丈夫だろうか?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 時は少しもどる。ここは保険室、みくるは赤くなった顔を隠しながら椅子に座っている。


「あはは、熱、ないんでしょ?」


 上新先生が苦笑しながらみくるに聞く。


「は、はいぃ」


 みくるは消え入りそうな声で返事をする。


「このまま戻るのも恥ずかしいだろうし、しばらくいる?」


 みくるは全て察っしているような言い方をする上新先生の言葉で、自分はそんなにわかりやすいのかとさらに顔を赤くする。


「いいね~青春。先生もそんなことあったなぁ...」


「えっ」


 学校内でもかなり美人だとして人気な上新先生。その恋愛話はみくるも少し興味があった。


「今のあなたみたいに片思いだったけどね~」


「え、あの...?」


 まさか自分の話題を掘り返されるとは思っておらず、豆鉄砲をくらったかのような顔になるみくる。


「あら、私の話はあまりしないわよ?先生の恋バナ聞いたってつまらないでしょう?」


 いつの間にか顔を覆っていないみくるをみて、ご機嫌な上新先生は、みくるに続けて聞く。


「で、どうなの?」


「...えっと、確かに流星くんのことは好きですけど、流星くんには一応彼女がいて...」


「一応?」


「最近はあまり仲良くないって聞いています」


 みくるは毎週月水金で流星と会っているため、彼女との状況ついても聞いていた。そしてそれがよくないことも。


「チャンスじゃないの。このまま押し切っちゃえば?」


「そ、そんなことできませんよ!」


 みくるは恥ずかしがりやであり、自分から、というのはかなり苦手であった。


「甘いわよ!そんなんじゃ、横からかっさらわれちゃうわ!」


「やっぱりそうですよねぇ...」


 先生の言葉に弱気になるみくる。自分でも思っていたことを言われて少しへこむ。まぁ一応すでに取られている状態ではあることは忘れているようだ。


「私どうしたらいいんんでしょう...」


「会う回数を増やす、とかどう?心理的によく合う異性の事は好きになりやすいと聞くし」


 したを向いていた顔を上げ、みくるは先生を見つめる。希望が持てたような、そんな曖昧な顔であったが、彼女は何かを決意したようだった。


「先生、私頑張ろうと思います」


「ええ。頑張ってね?」


 みくるが立ち上がったところ、予鈴がなる。


「あら、もうこんな時間。戻りなさい、授業は受けるんでしょう?」


「あ、はい、急いでもどります!」


 みくるは急いで保健室からでていく。


「私みたいな負けヒロインにならないようにね...?」


 先生は1人で呟いた。

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