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悪魔がウチにおりまして・94

ウチには悪魔が…。

ねぇ、あなたダレ?


またけったいな者がウチに居た。

家に帰ってくると新聞を片手にごろりと横になり、ちゃぶ台の上には鈍色に輝く缶ビール。

扉の開く音に反応して新聞を畳むとこちらを向いて座り直してぺこりと頭を下げる。

「…」

「…」

なんか話せや。

どう見ても悪魔族。

最近見分けられるようになった自分が悔しい。

「私こういうものです」

羊よろしく、名刺を出す。

なんであっちには名刺の文化があるんだろうと思いながら受け取る。

「うさ、だ?」

「そう読みますよね。兎田うだと言います」

読み間違えられ慣れてているのか、頭を掻きながら特に気にする様子もない。

うさぎ…。

失礼と思いながらも相手の全身を見てしまう。

頭にちょこんと生えた角。

全身は茶色の毛に覆われて…いや、ウサギというより…。

「呼び方牛でも良いですよ?」

いいんかい!

先回りしてくれてありがとね!

「いやー、ヤギさんみたく言い張るの、無理あると思うんですよね。どっからどう見ても羊ですし」

この悪魔、たぶん良いヒトー!

両手を差し出して握ると激しく上下に振ってしまう。

なんか、ここ最近会った者たちの中で一番常識あるように感じる!

「あー、牛さん!こんばんはー!」

そんなタイミングで悪魔が帰ってくる。

ねぇ、悪魔!

この悪魔、良い悪魔!

「ミミさん、本当にここに住んでるんですね。会社まで遠くないです?」

「そうは言ってもホール作れば別に?今はテレワークも申請できますし」

なんか私より進んだ話してるー!

「いいですね。ちなみにお家賃は?」

「無いですよ?この子に食費は貰ってますけど」

考えたら家賃折半でもよかったのか。

でもなー、頭数多くてややこしくなるしなー。

「…ミミさん、家賃補助出てましたよね?」

「しー!」

畳にはほんの少しの隙間。

「経理に報告をしておきますね…」

パタンと畳はしまった。

「ボクのお菓子代ー!!」


ウチには悪魔がいる。

泣き崩れる子と、バツの悪そうな子が。

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