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悪魔がウチにおりまして・950

ウチには悪魔がいる。

足が増えている悪魔が。


「ニンゲン、どうしましょう」

「とりあえず歯医者?」

悪魔、露骨に顔をゆがめ、唾を吐くふりをする。

「ニンゲン、あなたとの関係もここまで……」

悪魔にこのビルの家賃をちらりと見せる。

「ニンゲン、あの悪魔以外に対処方法はないでしょうか」

急にしおらしくなるんだから分かりやすい。

「ふっふっふ……ミミちゃんはこれから他足生物として生きていくことに」

急に表れたイモ虫に悪魔は飛び蹴りをして、増えた足で拘束し、余った足でこめかみを穿ったあとに外に放り投げた。

「鮮やか」

「ニンゲン、どうやったら治りますかね」

「コミュニケーションっ!」

落ちたイモ虫がベランダから這い上がってくる。

「イモちゃん、事と次第じゃ直接殺ちゅう剤食べさせます」

たぶん、殺鼠剤のことなんだろうな、黙っているけど。

「というか、生やしたのはみーですけど、なんで生えてくるの?」

イモ虫は6本の手足を組んで首を傾げる。

それはこちらも言っている意味がわからないんだけど。

「だって、みーは水をあげて『生えろー生えろー』って言ってただけですよ?」

なんでそれで生えて来てるのよ、悪魔。

「そういえば最近夢で手が生える夢を見ていたですー」

そんなんで生えてたまるか。

「それなら今度は逆に枯れろって言ってみます?」

イモ虫は曇りしかない眼で悪魔に尋ねる。

悪魔は生えそろった左手で3連打をかました。

「原因がそんなこと宣うなです」

正論だわ、珍しく正論だわ。

「でも、それしか方法が分からないなら試してみるしかないじゃないですかぁ」

悪魔、今度は右手で3連打。そりゃ元凶から言われたら怒るわ。

「良いから早く治すです。治せないならイモちゃんを歯医者に実験体として差し出すですー」

何気にグロイこと言ってない?

(要らないよ、僕がそんなことするわけないじゃないか)

「消えるです、悪魔ーーーー!!」

悪魔、それは脳内への声だから無視して。

「生えることが想定外なんですからぁ、枯れるのもどうなるかぁ」

「枯れるとか言うなですー!!」

手が枯れる、確かに怖い。

「で、治るの?」

いい加減埒が開かないのでイモ虫を箸で摘まんで持ち上げる。

「手の筋肉どうなってます?」

「アンタ、そのままガスコンロの刑でもいいの?」

「ここのコンロはIHー!」

バレてるならこのままゴミ袋って手もあるわね。

「ぶっちゃけ、それ偽物なんですけどね」

……はい?

「糸で繋がってるだけ、外そうと思えばすぐに外せるんだけど」

「あー道理で腕が重いと思ってましたー!」

茶番と分かっていて付き合った私がバカだったよ!


ウチには悪魔がいる。

「に、肉に食い込むですー!」

勝手にやってなさい。

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