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悪魔がウチにおりまして・87

新年にも悪魔がいる。

さっきからびったん、びったん騒がしい悪魔が。


「一応深夜なんだけど」

年が明けて数分、羊が臼を取り出して餅つきを始めている。

この子たちの声は普通聞こえないことを知っているが生活音まで聞こえないかは分からない。

まぁ、これだけ騒がしくしていて周囲から注意を受けないのだから平気なのでしょう。

いや、よくない。

聞こえる私がよくない。

「羊、時間を考えなさい」

「ええ、考えておりますとも!日の出までにこのモチを突いてしまわないといけません」

会話が成立しないとはこのことか。

「ニンゲン、おモチ嫌いですか?」

悪魔はヒヅメで器用にモチを転がして合いの手を入れている。

「そうじゃなくて。遅くだから近所迷惑でしょ」

なんか羊がそぉい!とか叫びながらモチ突いてるし。

「ご心配なく!結界で防音しております」

ならば遠慮なく。

「私が!寝れないって!言ってんの!」

羊の持っていた杵を奪うと、持ち手の先端を頬にめり込ませる。

皆が食べるモチを突く杵を汚すわけにはいかない。

「おべべ…新年の準備が滞っていたので…せめて、せめてモチだけでも!」

何気狐とクモ、うぱまで手を合わせて懇願してない?

見えません、安眠のためです。

「朝やんなさい」

「ニンゲン、一応ボクたち新年は仕事なのです。だから今しか準備できないのですよ」

え?不思議生物たち、仕事なの?

それがちたちはヒトがこちらに頼る時がお仕事ちごとですので」

狐は何やら式典用の服を繕っている。

クモも…なんだ?化粧マワシみたいな布を背負っている。

「んー、もう少し静かにやるなら許す。寝かせて」

「なりません!モチ突きは神聖な儀式!声を上げて、祈りながら…」

「悪魔が神を語るな」

羊の頭にチョップをして布団に潜るのだった。


元日の朝、ゆさゆさと悪魔に揺り起こされる。

「ニンゲン、起きるのです。朝ごはん一緒に食べるのですー」

時計を見ると6時。いや、寝かせろ?

「正月くらい、ゆっくり寝かせてよ」

「ダメなのですー。みんなでご飯たべるのですー」

譲らない悪魔に根負けして布団から出ると…。

そこには重箱のおせちとシンプルな雑煮がちゃぶ台に並んでいた。

「腕によりをかけましたので!」

羊が鼻を鳴らしながら腕を組む。…シンプルにすごい。

「ニンゲン、明けましておめでとうなのです!」

「明けましておめでとう」

おせちは尋常じゃないくらい美味しかった。

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