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悪魔がウチにおりまして・86

何とかみんなでウチに居る。

もう除夜の鐘が鳴っていた。


「おや、皆さん。意外と時間がかかりましたねぇ」

シンクでは羊が鍋でダシをコトコトと…ちょっと待て。

「アンタ、何増えてんの」

一緒に同行していた羊の頭を掴むと、シンクの羊も頭を押さえている。

「おやめ下さい、本体が攻撃されると私も痛むのです」

「本体?こっちが?」

手を放してぺしんと叩くと同じタイミングで前によろけた。

「ニンゲン、分裂できないのですか?」

悪魔が肩で息をしながら首をかしげている。

出来る訳ないでしょう。

「皆で出かけてしまったわけでしょう?おソバ、誰も用意できないじゃないですか」

見れば炊いているダシはそばつゆ、ちゃぶ台はどけられて新聞紙を引いて大きな…椀?で何かを練った形跡がある。

「あと切ればおソバが仕上がります。帰って来たなら本体がやってください」

そう言うと頭に巻いた鉢巻を取ってすーっと消えていった。

「待ちなさい!割と疲れて…分身拒否ですと!?」

普通分身に主導権無いのでは?

「分裂は本心が現れますから。ヤギさん、実はかなり疲れているんでしょう」

納得できるような、できないような。

「仕方ない、ここまで準備できてるならみんなでやりましょ」

率先して袖をまくったのはなんとお姉。

「ほら、狐、クモ、働くー。キミたちが一番疲れてないんだからー」

指名された2匹は敬礼してどんぶりを運んだり、そば種を切ろうとしたり。

「悪魔、そんなに疲れた?」

「…専務、怖いですから」

そうか、この子 (それと羊)は自分の上司に矢を引いたことになるのか。

「ごめんね」

「ニンゲン、ボク大みそか初めてなのです。楽しみなのです」

その笑顔は、強がっているわけでもなく、心の底からの笑顔。

無理して、本当に良かった。


羊がしっかりと準備してくれていたおかげで年越しそばには海老天が2尾ずつ。

準備がいいですな。

生き物を食べる訳に行かないと天使はかけそば。


考えたら目まぐるしい年だった。

「ニンゲン、年を越すときになんというのですか?」

「良いお年を、だよ」

「ニンゲン、よいお年を」

「悪魔、よいお年を」


「餅つきを始めてもよろしいですか?」

羊、気が早い!

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