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悪魔がウチにおりまして・85.5

境界の門が破壊されたと報告を受ける。

千里眼で状況を確認すると、先ほどのニンゲンとヤギたちが群れを成して押し寄せている。

よく見てみると、我が一族だけでなく和神や仏の…ん?

その中に天の使いまで。

捨て置こうと思ったが、コレはいけない。

やれやれ、仕事を増やさないで欲しい。


門を破壊したのはニンゲンの一人か。

そのことは問題が無い。

携帯できる近代兵器の威力がここまで上がっていることには驚きだ。

しかし。

「ニンゲンがニンゲンとして生きられている。些末な問題で盟約を破るつもりか?」

天の使い、貴様こんな些末な問題で戦争を起こすつもりか?

「この人の仔の力を無くさせる行為こそ、双方の世界への叛逆であろう」

砲を構えたニンゲンが楽しそうに笑っている。

「…専務さん、ニンゲンとお話できないの、寂しいのです」

「あね様は我が恩人。この身が朽ちようとも一矢いっち報います」

仏門下が何やら力を練っているのはわかる。

この中ではてこずりそうだな。

「専務。我らが役割は重々承知しております。しかしながら具申します。…この者との縁を断つのであらば我らは反…」

ヤギの言葉の最中、私の目の前に力を失ったはずのニンゲンが立っていた。

面体にこぶしを放ち、その上で私に命じてくる。

「返して」

…その言葉の意味を図りかねる。

所詮は異種族。

流れる時も、生きる世界も違う者ぞ?

「ニンゲン、後悔するぞ」

「しない」

間も置かず応えるニンゲン。

先ほどまで自らの命を捨てる覚悟をしていた者共が、先に手出ししたニンゲンを止めている。

自らの命は捨てられても、この者の命は惜しいか。

面白い。

ならば見せてみろ。


裂け目を閉じたことをなかったことにしてやろう。

ここから先は自分たちでどうにかしろ。


「専務、何か良い事でもありましたか?」

「いつも通り雑務処理で不愉快だよ」

戻ると秘書が何やら嬉しそうにカモミールをいれた。

「ひとつ決めねばならぬことが出来た」

「なんなりと」

恭しく礼をすると下がっていく。

相変わらずの距離で感心する。


さて、人事をどのように動かそうか。

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