表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
895/1168

悪魔がウチにおりまして・884

ウチには悪魔がいる。

というか、ここはウチじゃないパターンだったか。


むくりと起き上がるとそこは土の壁。

落ちるしずくの音。じめじめした地面。

お腹を掻きながら寝ている悪魔。

「悪魔、良く寝てられるわねぇ」

「目玉焼きに卵ソースは合いませんよぅ」

絶対に合うけどかけたくないソースだな、それ。

「ほら、起きてー。さっさと抜け出すわよー」

私もふてぶてしくなったものだわ。

「むぅ、あと3時間……」

置いていってやろうかしら。

「こんなところで寝てたらキノコ生えるわよ」

「地産地消できますー」

よし、置いていきましょう。

あまりにもはっきりと発した寝言で捨ておくことを決めた。

「ニンゲン!ボクがキノコの苗床になっても良いというのですか!」

寝言じゃなくて起きていたのね。

「そんな意識はっきりしているなら逆に悪魔の苗床にしてやんなさい」

「なるほど!?」

なるほどじゃねーのよ。おちおちボケられもしない。

悪魔が起きたことで周囲を見回して出口が無いか調べる。

一縷の光も、ない。

「ねぇ悪魔」

「なんです、ニンゲン」

なんで光も見えない洞窟?なのにこんなにお互いの事ははっきりみえるのかしら?

「松明システムが不評だったためと聞いてます」

やめなさい、システム的な話は。

周囲が見えるのは良いが進むべき方向がわからない。

どうやら1本道の中間、進むか戻るか。

「ニンゲン、ここからスタートなのでどっちも進むです」

揚げ足取らないの、帰らなきゃいけないんだから。

「そうしたら悪魔、こっち。私こっちなら?」

「それどっちかしか生き残れないやつじゃないです?」

どうせふたりで生き残る気がするけどね。

「そうしたらこうしましょう。このスマホでナビを出して……あ、これ無しです。つまらなくなります」

つまらなくてよろしい。

悪魔からスマホをふんだくると、圏外。

「……ダメじゃない」

「ダメみたいです。こうなったら仕方ありません……ぽんちゃーん!」

「呼びました?」

悪魔の一声で天井からモグラが顔を出す。

陽の光と共にだった。

「……自分で呼んどいてなんですが、情緒もなにもないですね」

それを感じるだけ成長じゃない?


ウチらは農場にいた。

ミミズ穴、らしいよ。ウチらがいたのは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ