悪魔がウチにおりまして・877
ウチには悪魔がいる。
ほんの少し宙に浮いている悪魔が。
「ニンゲンー、地に足が付かないのです」
「いつもでしょ」
アンタが落ち着いていた時なんてあった?
「ニンゲン、ボクのことそんな風に見てたです?」
今その話し合いしている状況じゃないでしょ?
よく見ると悪魔は5cmほど宙に浮いている。
「どうやって移動しているのよ」
「足出すとちゃんと進めるのですー」
よし、問題なし。私はスイカのアイスを食べます。
「どう考えてもおかし無いです?ボク浮いてるんですよ?」
悪魔のひとりやふたり浮かんでて驚くなら、アンタと一緒に暮らせてないの。
「呼ばれて無くてもどゅどゅどゅどゅーん!」
言った通り呼んでも無いのに飛び出してきた羊。
「その自覚あるならば良し」
「言い方ひどくありませんか?理由、知りたいんでしょう?」
そんなに興味が無いんだけどなぁ、どうせそのうち着陸するでしょうし。
「ニンゲン!ほらっほらっ!足の間に紙が通りました」
「このように楽しんでまして」
「ミミ君はアホなのですかっ」
今に始まった事じゃないでしょう。
「良いですか!このまま放置しておくと、大変な事になりますよ!」
「ほら、羊も必死だから聞いてあげましょう?」
「あいー」
絶対話を聞く態度ではない自覚ありますのでご安心を。
「具体的に言うと飛んでいきます」
だいぶ端折った結論なことで。
「良いよね、悪魔」
「良いわきゃねーです」
腕の代わりに胡坐を組むんじゃない。
「あれ?頭の位置変わらないのね」
普通、浮いている位置が5cm固定と思うじゃない。
「そう、この症状の特徴は頭の位置は変わらないということなのです!」
どどーんとSEをカセットテープで流す羊。
「どうやったら治るですか、羊さん!」
負けじとMDできゅぴーんと鳴らす悪魔。
「それは……カレーとピスタチオを一緒に食べることです!」
その組み合わせは確かに無いわなぁ。
「……ニンゲン、浮きっぱなしでも良いですか?」
珍しく嫌がってる。
「さぁ、ミミ君!カレーを作ってください!」
「羊さん、他に方法無いですか?」
引き下がってるなぁ。
ウチには悪魔がいる。
「……サラダとかデザートでも良かったですのに」
カレーの中にピスタチオを投げ入れた悪魔が。




