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悪魔がウチにおりまして・876

ウチには悪魔がいる。

左右きょろきょろ何かを探している悪魔が。


「ニンゲンー、ピザ窯どこ行きました?」

知らないよ!?

「え?ピザ窯……え?」

思わず聞き返してしまうのも無理はないでしょう。

だって窯よ?設置物よ?

「どうしたですか、鳩がガトリングくらったような顔をしてー」

それはもはや致命の攻撃なのよ。

「なんでそんな重いもの無くすの?」

「そうなのです、ボクもそれが不思議でしてー」

不思議がらず、悔い改めなさい。

「これは、怪異・物隠しの仕業です!」

「物隠し?本当にいるの?」

「今、思いつきました」

でしょうね!

「ミミ殿、いけません。そんな嘘から発生するのが怪異というもの」

自分の部屋から正装で現れた狐。あら、準備万端?

「ごんちゃーん!とりとり帽子似合ってますですー!」

烏帽子を読めずにとりとり言うな。カラスだよ。

「怪異はヒトの噂から出ずるもの」

「ごんちゃん!ボクは悪魔です!」

狐がお札を投擲、ぴったりと悪魔の口を覆った!

「誰かが口に出ちてしまえば、嘘が真になり存在ちてしまうのです」

「むぐー!むぐー!」

この子は無視して話し進めようか。

「それはそうだけどピザ窯なんて重いもの、無くなる?」

狐は鷹揚に頷いた。

「左様。在りし物が消えるわけなどなく。それがちの力で見通ちて見せましょう」

狐は水晶の付いた鎖を垂らす。

「占い?」

「ダウジングです」

なんでそこ少し洋風なのよ。

「むむっ!反応があります!お外に行きましょう」

そりゃピザ窯、外だよなぁ。

狐についていくと、以前窯のあった場所。

「……ここ?前からここよね?」

でも確かに、窯は見当たらない。

「むぐー?むぐもむぐぐむむぐぐ」

「狐、剥がしていい?」

悪魔が何を言っているのか、まったくわからないのよ。

「放置で。どうやらここに結界が張られているみたいです……」

狐、ぎょんっと悪魔に向き直る。

「これは魔族が使う隠ぺい結界……誰が施ちたのでしょうね?」

「むー、むっぐぐむぐぐ」

言葉の途中で狐の飛び膝蹴りが決まりましたとさ。


ウチには悪魔がいる。

騒がせた罰でみんなにピザを焼いている悪魔が。

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