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悪魔がウチにおりまして・874

私は薄暗い地下道にいる。

目の前には大きな扉が佇んでいる。


ふぅとため息を吐くとコンコンと門扉の取っ手を鳴らす。

『合言葉を言うですー……”国破れて”?』

「サンダーソン」

ねぇ、本当にこれで合ってる?

私の疑いを余所に、扉は重苦しい音を鳴らして開いていく。

「ようこそ、地下の市場へ……ここでは地上では手に入らぬ物が目白押しなのです……」

お出迎えはローブを被った悪魔。

「ここに呼ばれてきたけど買い物のために呼んだの?」

半ば押し売りじゃない。

「そんなこと言っていいのですか、ニンゲン」

重々しい雰囲気を醸し出しながら悪魔はほくそ笑んだ。

「何よ、その含み笑いは」

「ふっふっふ、ニンゲン。このラインナップを見てそんなこと言えるですか?」

悪魔は1枚の紙を差し出す。

中に書かれていたのは、ジャガイモ、ゴボウ、タケノコ……。

「あの、これスーパーで売ってる」

「誰も地上に流通してないとは言ってないのです」

確かに地面の中にあるものだけど!

「要するにここはお野菜市場?」

「それだけでは市として成り立たないので、お魚も肉もあります」

さいですか。しゃべり方も普段の調子に戻ってるし。

「特にこのタケノコは、今なかなか流通してないのです、お高いのです。でも!ここで買えばこの通り!」

悪魔がチラシの値段をズビシと指さした。

「サツマイモ5個200円、タケノコ1本120円!?」

やっす!なんで!

「ここは闇の物が集まる場所……虫食いとか規格外とかを流してくれてるのです」

なんで悪魔の世界にB級品の市場があるのよ。

「おや、ニンゲンさん。遠路はるばるようこそ」

そんなところに忙しく走り回っているモグラが挨拶をしてくれる。

「モグ、やっぱりアンタも出店してるんだ?」

「タヌキです。我がもぐもぐカンパニーは食べ物を求められたらたとえ土の中、森の中」

絶妙に範囲が狭いのよ。

「ぽんちゃん、今日はお招きありがとうですー。お買い得で助かってます、会員じゃないと入れないのでー」

秘密の闇市かと思ったらただの会員制スーパーじゃない。

「ミミちゃんは金払いが良いので歓迎です。これどうですか?ウチの新商品、牛100%ハンバーグです」

モグラはクーラーボックスから生のハンバーグを取り出す。

値段は……1個500円!?

「高くない?」

「野菜はお安く、それ以外は高級志向。それがここのルールです」

胸を張るモグラ、さすが商売の場だと抜け目無いわねぇ。


レジには悪魔がいる。

会計が15万を越えている悪魔が。

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