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悪魔がウチにおりまして・855

ウチには毛玉がいる。

増えたり減ったりしている毛玉が。


初めて毛玉を見る人がいるかもしれないので軽く説明。

悪魔が連れてきた毛玉、連れてくーとしゃべる。以上。

「ニンゲン、説明が雑です」

うるさいわねー、アンタだってこの毛玉が何なのかわかってないでしょ。

「連れてくー?」

行かなくてよろしい、手を引くんじゃない。

体重差から引っ張られることないけど結構ぐいぐいと諦めずに手を掴んでいる。

「今日は熱心ですね、ぱさちゃんどうしたですー?」

「てくてくー」

歩きそうな言い方やめなさいな。

「ふむふむ。なんかニンゲン、今日外に出ないほうが良いらしいです」

「仕事あるんですが」

「そこを何とか」

「つれー」

辛いのは私なんですが。

「悪魔、翻訳ー」

「今日外に出ると不幸になるそうですー」

そんな曖昧なことで仕事休めないよ。

「具体的にどんなことが起きるのよ」

通訳時間を挟んでおります。

「鳥フンが落ちてくる、100円を落とす、電車に服を挟まれるそうです」

確かに地味だけど嫌なことばかり!

「それ、今聞いたから気を付ければ良いのでは?」

悪魔はゆったりと首を振る。

「ニンゲン、この世の流れは決まっています。ここで家から出れば必ずぱさちゃんの言った事が起きてしまうのです」

重苦しく言っているけれど、結局せこい不運なのよ?

「連れてくー」

毛玉は腕を組んで胸を張っている……なんで胸とわかるのか。

「こうぱさちゃんも言ってます」

「わかった、わかった。今日は休むから」

何かしらの理由があるなら休んでよし、それが社会人の利点!

「やったー!そうしたらニンゲン、積んであったゲームをやりま」

ちゅどんっ!

外から炸裂音が響いた。

「聞かなかった事にしていいですか?」

ダメに決まっているでしょう。

玄関のドアを出ると頭に石の刺さった羊が倒れていた。

「平和なので戻りましょう」

せめて声かけてあげようよ。

「羊ー、生きてるー」

「生きてまーす、しばらく動けそうにありませんがー」

なら大丈夫か。


ウチでは毛玉が胸を張る。

「出たらアレが当たってたそうです」

……鳥フンがずいぶん進化したものね。

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