悪魔がウチにおりまして・854
ウチには……。
「ニンゲンと!ボクの!お料理バンザイ!」
なんかおっぱじめた!?
「さぁ、ニンゲン!ドーナツを作るです!」
説明という工程をすべて省くんじゃない!
「ニンゲンー、甘い甘いドーナツを食べたくないのですか……?」
私が求めていることがすべて繋がっていないのですが。
「あったら食べる」
「そうでしょう、そうでしょう。ここに用意いたしましたのはそば粉」
材料選択からやり直せ!
「悪魔、ドーナツは小麦粉よ?アンタはまた何を作ろうと思っているの?」
「実はクモちゃんから上等なみたらし蜜をもらったのです」
ちらりとロフトを見ると、輝いた眼のクモ。
「それなら白玉粉を買ってきて団子にしなさい」
「売ってなかったのですよ、白玉粉。なのでそば粉に妥協を」
むしろそば粉の方がスーパーにない気がしますが。
「そんなわけでニンゲン!クモちゃんのためにドーナツを作るのです!」
何も話が進まない料理会が幕開けたんだけどね。
「まずそば粉と小麦粉を2:8でブレンドします」
「待てい」
その割合は逆なのよ、普通。
「それだけの小麦粉を混ぜるなら普通のドーナツで良くない?」
「何を言ってるですか、ニンゲン!それではみたらしと合わないじゃないですか!」
根本から間違えているんだよな、この子は。
「私見ているだけでいい?」
「えー混ぜるの手伝ってくださいー」
悪魔に渡された泡だて器で粉を混ぜ合わせ……違くない?
「さ、ニンゲン!ここにTKGをどーん!」
コメまで入れた!?
「そして形を星形に整えて」
もっと作りやすい形にしなさい!
「250℃に熱した油に入れるのです」
高くない!?
コメが入り、卵が入り、水分過多の生地を高温の油に入れたらどうなるか。
豪快な音と共にはじけ飛びました。うん、わかってた。
「……完成品がレンジの中に!」
あるなら最初から出しなさい!
ウチには悪魔がいる。
「ドーナツだと蜜がしみしみで美味しいですー……」
こんな甘いのに平気で食べている悪魔が。




