悪魔がウチにおりまして・843
ウチには悪魔がいる。カーン!
ゴング鳴った!?
『さー、会場の熱気も最高潮ー、第1試合の開始まで間もなくです』
牛の間の抜けたアナウンスが会場に響く、会場!?
『緑のコーナー、挑戦者はミミさんですー』
「緑?赤青じゃないの?」
『ニンゲンさんのマジレスは無視しまーす』
ならアナウンスするな!
「ニンゲン、タオルは絶対に投げちゃだめですよっ!」
「アンタのトレーナーなの?」
「ツッコんじゃダメです」
ゆるゆる毛皮の上から履いているボクサーパンツ、意味は?
『続きまして茶色のコーナー、ディフェンディングチャンピオンー……これから誰が良いか決めまーす』
そんなテキトーなチャンピオン、居る!?
「牛さーん!なんかこういうノリ、牛さんか羊さんじゃないんですかー?」
『私もそう思うんですが、どこかの誰かさんが私をアナウンスに据えたせいで困ってるんですよー』
だから会場アナウンスで内緒話をするんじゃないよ。
『さぁ、チャンピオンになりたい猛者たちよー、ミミさんを倒した者に称号を与えようー』
チャンピオン変わったの!?
「ボクがチャンピオン……?リーグを勝ち残って」
「そこの領域に触れるのは止めなさい」
法務部最強企業にケンカを売るな。
そんなチャンピオン争奪戦に沸いた会場、1匹のターコイズブルーがリングに上がる。
「えーっと……『やっとこのチャンピオンの権利を奪える時が来たぜー、ミミだかツメだか知らねーが、俺の前に跪くんだなー』」
ザリガニ、ごめんね。そんな役回りさせて。
「お前が相手ですか、ミサイル2号!」
「あの、面倒なので軽く殴って貰っていいっすか?それでKOされたいんで」
「八百長ですか!いけません!ボクに勝たないとファイトマネーがでませんよ、いいんですか!」
この試合で金でるのかい。
「ゆっても300円ですよ、買っても負けても。それならさっさと帰って仕込みしたいんです」
「みゅー」
まん丸の目をこちらに向けてくる悪魔。
私が知っているわけないでしょう。
「ゴリオンメガマックスー……」
「妙に豪華なのかバカにしているのか判断に困るんすけど」
「合わせて600円でラーメン食べましょ?」
「足らねーですよ、いま大体800円くらいでしょ」
あのー、私、帰っていい?
『盛り下がってまいりましたー、では、ファイトー!」
始まらねーよ、このテンションじゃ!!
会場は鎮まりかえっている。
え、どうするの?この空気。




