悪魔がウチにおりまして・828
ウチには悪魔がいる。
スマホの前で頭を抱えている悪魔が。
「ニンゲン、暗礁番号分かります?」
それは今アンタが乗り上げているものでしょ。
「他人のスマホの番号なんて知らないよ」
「ヒトじゃなくて悪魔です!」
おぉ、カリカリしとるのう。
それはそうとしてスリッパは乗せますが。
「なんの用?調べものくらいなら貸してあげるけど」
あまり他に使わせたくないけど急ぎなら仕方ない。
「ありがたいけど違うのです、ログボが途切れてしまうのです」
はい、解散、かいさーん。
「ニンゲン!露骨に興味を無くさないでください!」
「いやー、ゲームでしょ?別にいいじゃない」
「甘いのですー!」
甘いんじゃなくて、価値観の違い。アンタほどスマホゲームに入れ込んでないのよ。
「ボクは毎月5万入れてるです!ランキングを落とすわけにはいかないのです!」
うん、課金額が減ってるから成長しているわね。
「対人要素ないゲームやりなさい」
「それは後々検討を重ねます」
地味な引き延ばしは止めなさいな。
「そんなことより、暗証番号!」
「普段から使ってたの忘れたの?」
慣れてる番号なら忘れるはずないのに。
「それが、この前セキュリティのために変えたばかりなのです」
「メモは?」
「スマホのメモ帳に」
ロック・イン・ザ・キーって言うんだっけ、そういうの。
「諦めよ、もしくは総当たり」
「ロック番号6桁ですよ?」
がんがれー、ぽちぽちしたらいけるよー。
「あと2時間しかないのですー、ニンゲンー手伝ってー」
どう手伝えばいいのよ、スマホ1つしかないのに。
「あーうー……」
「ニンゲンさん、今日のご飯はなんですか?」
羊、アンタ家庭があるでしょう。
「妻がストライキです。そのためこちらに」
ウチのこと定食屋か何かと思ってます?
「羊さん、ボクのスマホの暗証番号ー」
「014129ですよね?」
即答!?
「開いたー!羊さん、ありがとうですー!」
「……アンタ他人の暗証番号把握してるの?」
「失敬な、目の前で”美味しい肉”って繰り返し言ってたらわかるものです」
セキュリティがばがばじゃないの!
ウチには悪魔がいる。
「ランクが!!!」
「私の勝ちですね」
ふたりで落ちなさい、地の果てまで。




