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悪魔がウチにおりまして・808

ウチらは牛の店に居る。

再びビール髭の悪魔と一緒に。


「ぷはぁ、この1杯のために生きてるですぅ」

「そのセリフ、昨日も言ってなかった?」

確か昨日は仕事納めで飲んでたはずだけど。

「ニンゲン、そんな野暮を言ってはいけません。今日は忘年会ですよ」

すでに赤ら顔の悪魔がのんびりとビールサーバーへ歩いていく。

そう、今日は前々から計画していた忘年会。牛の店貸し切りです。

「みー、ちゃんと来てよかった……よかった……」

まだ開始15分にも関わらず涙ぐんでいるイモ虫。

この子、泣き上戸だったっけ?

「恐かった、お願いして断られるんじゃないかって」

それもし断られても日ごろの行いでしょうに。

「世話になった気もするですのでー、イモちゃんも飲むですー」

ジョッキ片手にイモ虫に絡みに行く悪魔。

グラスに入ってるのはウイスキーか?

「ミミちゃん、貰います!」

受け取ったグラスをさらりと一気飲み。

うん、すぐ潰れるんだろうな。

「ちかし、こんな儲け度返ちの飲み会を開くなんて」

そういえばこの店、牛が店長で狐がオーナーだっけ。

「無理言ってごめんね、狐ちゃん」

「……あの、ごんさん私の用意したメニューの3倍用意させてるんでむしろ乗り気ですよ?」

牛がおずおず伝えてくると狐がドロップキックした。

「いやー、セルフにしてもらって助かってます」

「私もお呼ばれしてよろしかったのでしょうか……」

ザリガニの脇に和服のネズミ。奥さまも来たので?

「いつも店を守ってくれているザリさんのご家族に敬意を払うのは当然ですので」

牛の角を引っ張りながら狐が答える。落ち着きなさい。

「2日連続うどん食べられて幸せー」

普通に神ちゃんがいるのは良いの?

「誘わなかったらボク、あとから何言われると思います?」

ごもっとも。滅多にこっちに来ないから息抜きに良いのかもね。

視界の端にはモグラとミミズとうぱがチョコフォンデュを……なぜ用意されているのか。

「ごんさんがみんなが楽しめるように、と。ほらクモさんたちは綿あめ作ってます」

本当だ、ずっとザラメ入れてぐるぐるしてる。

「ニンゲンさん、こんな化け物たちと普段から生きてたんすね」

シレっと溶け込んでるあなたも化け物認定ですよ、担当さん。

しかし、ほとんど勢ぞろいのカオス状態、みんなよく集まったものだ。

「年忘れはなんぼあっても良いですからね」

悪魔は隣に座るとオレンジジュースを渡してくる。

「来年もよろしくです、ニンゲン」

「こちらこそ、悪魔」


ウチらはグラスを傾ける。

「メイン食材仕留めたわよぉ」

……お姉、それってクマですよね?

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