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悪魔がウチにおりまして・800

ウチには悪魔がいる。

変な不貞腐れを起こしている悪魔が。


「悪魔、機嫌直しなよー」

「ニンゲンには失望しました、おこです」

悪魔の目の前にあるカレー、それを眺めながらいきなりむくれ出したのだ。

「一応理由聞いとく?」

「みんなに説明せねばなりません。ニンゲン、今日はなぜか8という数字が見えてきませんか、おぼろげに」

その言葉並び、バカにしてるから辞めなー?

「8とカレーでむくれるの、何の関係が?」

「甘い!このカレーのように甘いです、ニンゲン!」

じゃあそれなりに辛いんじゃない。

「8とはつまりタコの足!なぜこのカレーにタコが入っていないのですか!」

コイツの機嫌を取っている私、褒められても良い気がするよね。

「魚介って煮込むと匂いが」

「それはそうなのです」

ならなぜ話を振ったんですか?

「と言うわけで出張タコさんを呼ぶのです!」

「呼びません」

遠く記憶の彼方にいた自分の脚ぶった切るタコをまた海馬から消し去る。

「なぜですか!新鮮なら匂わない気がします!」

気持ちの問題じゃないのよ。

「また家に呼んで豪快なリスカしてもらうんでしょ?タコだからギリギリ許されているけどアウトだからね」

最近そーゆーバイオレンス表現はNG多いんだから。

「それならニンゲン、800回なのにカレーなのはなぜなのですか?」

え、今さら気にする?

「ウチら、回数記念なんかしたことある?」

「無かった気がします」

一緒に暮らし始めたばかりの頃はなんかやった気もしないでもない。

「ならカレーでもケーキでもソバでも変わらないでしょ」

「そうですけどぉ、気分、気分と言いますかぁ」

結局ご機嫌取りから逃れられないのね。

「ねぇ、うぱちゃん!カレーとチョコ、どっちが良いですか!」

あ、甘党のうぱに話振るのは卑怯だぞ!

ベランダ前のガラスで日向ぼっこしていたうぱは目を擦りながら首を傾げる。

「うぱちゃん、今食べたいのは甘ーいチョコといつものカレーどっちですー?」

この悪魔!そんな聞き方をしたら……。

うぱ、差し出した悪魔の手でカレーを示した方に手を乗せた。

『……アレ?』

思わずハモってしまったけど、うぱならチョコかと……。

うぱは胸を張り腰に手をやる。

「……ご飯は、ご飯!だそうです」

この子もその区別はついていたのね。


ウチには悪魔がいる。

カレーにチョコをかけている……美味しいの?それ。

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