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悪魔がウチにおりまして・77

ウチには悪魔がいる。

こう見えて読書家な悪魔が。


「ニンゲン、この文章変じゃないですか?」

悪魔はそう言いながら便せん3枚ほどの手紙を差し出してくる。

目を通すと、いつの間にか上手になった日本語で本への感想がしたためられてあった。

「うん、ちゃんと誤字もないよ。うらやましい…」

おっと、本音。

「良かったのですー。とても良い作品に出逢えまして。感謝を伝えたくて勉強したのですー」

おおよそ悪魔の発言とは思えないのだが。

「嬉しいと思うよ。封筒は買ったの?切手は?」

「ふうとう」

なんでそこで目が丸くなるのよ。


近所の均一店に行って、地雷子ちゃんに封筒を選ばせる。

茶封筒でいいと思ったのだが、曰く。

「封筒は第一印象です。会社の面接にジャージはいけません、ジャージは」

と、妙な実感を伴った圧をかけられたので可愛いのを選ばせました。

無事、四葉のクローバーのあしらわれたファンシーな封筒を購入。

その足で郵便局に行くとそのまま手紙を送るのでした。

わざわざ切手を買わなくてもいいからね。

「んふふー…」

「嬉しそうね」

「ですね、なんだか昔を思い出して、懐かしい気持ちになるお話でしたので…」

そんなにいい話なのであれば、私も読んでみようかしら。

「悪魔、後で貸して?」

「もちろんです」

その夜、悪魔から本を借りて結局徹夜してしまうのでした。


「こんにちは。折り入って相談が」

珍しく羊が挨拶をしながら生えてきた。

「どうしたの、改まって」

羊の手に便せんが…四葉のあしらった便せんが持たれていたことでなんとなく察したのだが。

「実はファンレターをいただきまして…どうしましょう」

「かくして返事出せば?」

「ですよねぇ」

無論、文字チェックをしているので手紙の内容は知っている。

そして小説の内容も。


「実際にあの子の事モデルにしたって言ったら怒られますよねぇ…」

「やっぱりか」

そりゃ懐かしい気持ちになるだろうよ、本人がモデルなんだから。

「隠しておいてあげるから、査定増やしてあげなさい」

「それとこれとは…」

「いまから印税折半とどっちがいい?」


ウチには羊がいる。

泣きながら返事を書いている羊が。

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