悪魔がウチにおりまして・798
ウチには悪魔がいる。
キッチンでおかゆを作っている悪魔が。
「ニンゲン、味見お願いしますー」
悪魔は小皿に茶色……いや、黒と言っていいおかゆを渡してくる。
「……え?食べれる?」
「食べれる物しか入れてないですよー」
確かに香りはしょうゆ、ただ香りが強い。
「しょうゆと塩と山椒、あとはひき肉ですー」
この色に染まるまで、しょうゆ入れたのかぁ。
「ところでこのおかゆは誰が食べるの?」
こんな過激な味付けはこの子好きじゃなかったはず。
「実は作者が37.6度の熱が出ましてー」
最近よく体調崩すわねぇ。
「病人には塩分控えなきゃいけないんじゃなかった?」
「これでくたばるならそれまでですよー」
※自分で自分のこと書いているので許される言葉です。
「そうは言っても、作者が書かないとウチらの命止まるよね」
「大丈夫ですー、庵野さんが引き継いでくれる気がしますー」
※ご本人にまったく許可を取っていません。
そんなタイミングでチャイムが鳴ると、大男が冷えピタを貼って入ってくる。
「作者ー、寝てないとダメですよー」
塩分過多のおかゆを盛ろうとしていたやつのセリフじゃないね。
「どうせ悪くなっちゃったら休むしかないんだからさ、歩ってても変わらんて」
※作者は特殊な思考をしています。風邪を引いたら休みましょう。
「あの、大丈夫ですか?」
なによりシレっと入ってくるならチャイム鳴らすなっての。
「このヒトは38度越えててもライブ配信続けた猛者ですよ?この程度ではびくともしません!」
※繰り返しになりますが、休め。
「それよりおかゆ、良い?」
作者はのっそりキッチンに向かって鍋を見てスプーンを突っ込んだ。
黒いおかゆを一口食べると無言で小鉢によそって食べ始めた。
「しょっぱくないんですか?」
真っ黒ですよ、それ。
「鼻詰まってて味分からんのよ、まぁ腹満たせればいいかなって」
※昼に食べた家系ラーメンがこの状態でした。
「作者ー、さっさと寝るですー。最近2時まで配信見てるから悪いのですよー?」
「今更だけど、今日休めばよかったのでは?」
「いやー、熱程度で休む必要ないでしょー」
ええい、このワーホリめ!
「でも今日はうぱちゃんとクモ借りていっていい?念のため」
ウチにアイドル2匹を攫わせませんよ?
と思ったけど呼ばれた2匹はロフトから降りてきて作者の腕に収まっていく。
「さんきゅ。砂糖と繭、頼むわぁ」
2匹はため息を吐きながら腕の中でコロコロしている。
「仲、良いんですね」
「もともとウチの子だからね」
……この子たち、ダブル居候だったの!?




