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悪魔がウチにおりまして・781

ウチには悪魔がいる。

グラスをふたつ構えている悪魔が。


もちろん見ているのはグラスではなく中身。

琥珀色の液体に満たされたグラスを光に透かし、嗅いで、再びグラスを置く。

「ニンゲン、コレどっちがしょうゆだと思います?」

「何と比べてるのよ」

聞いておいて気付いたけどどっちの液体も色が薄く、しょうゆには到底見えない。

「ウイスキーなんですよー」

間違えようが無くない!?

「実は、777回だというのにうどんを打つためだけに出勤させられたことがありまして」

その記念回に呼ばれてすらいない私の前でその話しますか。

「……で、ムカついたのでちちんぷいぷいしてしょうゆとウイスキー同じにしたらわからなくなっちゃって」

3周くらい回って自業自得だった。

「わからないならどっちも捨てちゃえば?」

「愚か者ー!」

悪魔が殴り掛かってきたので足払いをかけて椅子に付き飛ばす。

クモ、空気を読んで悪魔をがんじがらめに固定。

「ニンゲン、手慣れてきましたね」

「殴った理由続けていいよ」

「この作品はフードロス撲滅に貢献するため活動していた気がするのです!出されたものは、全部食べる!ビバ、美味しい食べ物バンザイなのです!」

椅子に縛られてそれだけ吠えられるならば上等、介錯はしましょう。

「それなら、しょうゆとウイスキー紛らせて遊ばない方が良いんじゃない?」

「大丈夫ですー、良いウイスキーと同じ味になるようにぷいぷいしたので。変わって無いのは塩分濃度だけです」

嫌がらせにもなってないじゃない。

「……味、一緒なら混ぜちゃえば?」

「その手が有ったぁ!」

ねぇ、この子なんで今日こんなにアホなの?

「ミミ殿、話は聞いておりまちた。ニンゲン殿、それがちの棚から短刀を持ち出すのは勘弁ちてもろて」

だって狐の部屋にしかないじゃない、介錯に使えそうなの。

「ミミ殿、そのグラスは自ら片付けましょう。最近大人ちかったのにまた暴走を」

クモが解きかけていた糸を狐が巻き直している。

「ごんちゃん、ボク動けないです」

「動かす気はございません。ちばらく反省なさい」

狐、今回は穏やかな折檻ですみました、めでたいですね。


ウチには悪魔がいる。

「ニンゲンー、今日の晩ご飯なんですー?」

椅子に座ったまま飛ばないのー。

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