悪魔がウチにおりまして・777
ここはバー「蜂の巣」
大人がお腹を満たす社交場です。
「牛さん、今さらですけどまだバーって言い張ってるんすか?」
お黙りなさい、ザリガニさん。営業許可的にバーなんで仕方ないでしょう。
「牛殿、今日はそういうおふざけは控えていただいて」
ごんさんにたしなめられつつ、打ち合わせ再開。
そこでおずおずと手を上げるザリガニさん。
「ところでひとつ良いっすか?」
「なんでしょう、タンク殿」
「今回、777の記念回なのに良いんすか?」
……。
絶妙な間が場を支配してますねぇ。
「致ち方ないでしょう。とある方の計画性の無さですから」
(あらぬ中傷を受けたっ!)
いくらでも書き直せたのに強行するアンタが悪いんじゃないですかねぇ。
「で、今回の議題はなんですか、タンク殿」
咳ばらいをひとつ、話を戻すごんさん。さすが経営者ですね。
「そうっした。最近酒が出ません」
私とごんさん、同時に天を仰ぐと思いませんでした。
「ここ、バーですよね?」
「その通りなんですけど。ミミさんのうどんが強すぎて」
『あー』
作画コスト抑えようとしてません?
「ミミ殿のうどん、美味ちいですからねぇ」
「あの小憎たらしいミミさんから作られる食べ物、どれも美味しいの不思議ですよね」
ニンゲンさんは平均点高いイメージ、ミミさんは定期的にホームラン打ちますからね。
「さすがにメニューから削ると客離れになりそうで」
「バーという概念、崩れますね」
それを許したオーナーに言われてたら世話無いですね。
「それでタンク殿。そのような泣き言のために呼び立てたので?」
ごんさん、目が笑って無いですよー。
「もちろん違います。で、コレを飲んでほしくて」
ザリガニさんが差し出したのはカクテルグラスに入った琥珀色の液体。
「これは?」
「新作です。もしおふたりの舌に適えば商品にしようかと」
ふたつ出されたグラスを受け取ると、軽く揺らして口に含む。
ベースはウイスキーなのは強さと香りでわかる。
しかし妙にまろやか、そしてうどんが食べたくなる謎の味。
「美味ちいです。これは何のカクテルですか?」
ごんさんも気に入ったようで、私も頷きで応えます。
「よかった。ハウスブレンドとかつお出汁なんですけど」
……飲む前に言われなかったら飲まなかったでしょうね。
「……良いのではないでしょうか」
ごんさんも思わず苦笑い。そりゃそうですよねー。
ウチではうどんを打っているミミさんが居ます。
「ボクの出番これだけです!?」
なんかうどんの出る量3倍になったんですって。




