悪魔がウチにおりまして・769
ウチには悪魔がいる。
「あなたは神を信じるです?」
たまにギリギリを攻める悪魔が。
「あのメシマズ嫁のこと?」
「羊さんが聞いたら泣きますよ」
あの料理センスは唯一無二だからね。もちろん悪い意味で。
「それはそうと。アンタが神を語ると怒られるわよ?」
めっきりゆるキャラと化しているけど、アンタ一応悪魔でしょ?
「大丈夫ですー、このやぱーんでは信仰の自由が認められていますっ」
どこだ、やぱーん。
「それを言ったら攻撃する権利もあるってなりかねないよ?」
「へいきへいき、だって神ちゃんたちは遠ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい親戚ですから」
そういえば悪魔の起源って堕天使だっていう説もあるからね。
「つまりアンタと歯医」
「ニンゲンには焼き芋あげないです」
なんなのよ、その地味な抵抗!
「ところでなんでいきなり宗教のお話?」
野球、宗教、政治の話はしていけないというのに。
野球だけ浮いてる気がするのは私だけなのかな?
「特に意味は無いのですー。しいて言うなら寒いから話題も寒くしようかと」
怒られろ、宗教関係者に。
「なんか失礼なフリをされた気がするんだけどー」
噂をしたらなんとやらクローゼットから飛び出してきた神ちゃん。
「あー、神ちゃんー。この前貰ったパウンドケーキ美味しかったですー」
ケーキ?
「ありがとー!なんででしょうね、お菓子はみんなから評判良いのよねー」
メシマズ嫁、菓子ウマ嫁だった。
「ダーリンに毎日ケーキでいいって聞いたらにっこり笑ってただけなんだけど、どういう意味だろー?」
その時の羊、こんな顔してたんだろうなー。
悪魔がしている満点の笑み。
満面ではない、貼り付けたような満点の笑みだった。
「いいと思いますー、毎日ご飯が甘くて羊さん羨ましー」
1ミリも思っていない言葉を吐くんじゃない。
「だよねー!また相談してみよっと!」
神ちゃんはそれこそ満面の笑みでクローゼットに戻っていったとさ。
「どうすんのよ、あれ」
羊これからご飯じゃなくてスウィーツ生活になっちゃったら。
「ニンゲン……神を信じますか?」
悪魔なら信じるよ。
ウチには悪魔がいる。
「ミミ君ー?とっても甘いお話がー」
「なんですー、羊さーん」
思い出せ、自分の悪事!!




