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悪魔がウチにおりまして・73

ウチには悪魔がいる。

最近こちらに順応してきた悪魔が。


「ニンゲン、来年の干支ってなんでしたっけ?」

悪魔はイモを切りながら尋ねる。

「スマホで調べなさい」

先日駄々をこねて契約したスマホをこういう時に使わずいつ使うのだ。

「そうですね…えっと、来年はうさぎっと」

現代のスマホってヒヅメでも反応するのか。

しかし、なぜ干支?

「悪魔、干支なんか調べてどうするの?」

「お年賀を書こうと思いましてー」

年賀という言葉にうぱがふよふよ飛んできてなんかアピールしている。

「うぱも欲しそうよ」

「それならもう一切れ作らねば」

そういうと悪魔はさらにイモを切る。

「さっきから何しているの?」

「イモ版です。うぱさんの分も彫るのでもう一個」

悪魔は切ったイモを数えながら答える。

…イモ版って同じ絵を何枚もハンコするためって教えてあげたほうがいいのかしら。

「しかしマメね。新年の挨拶とかあっちでもメジャーなの?」

「年の瀬から新年は繁忙期なのでみんな気にしませんね。ニンゲンはこのあたりでよく堕落してくれるのでー」

時たま忘れがちになるが、この子一応悪魔だった。

そうだよねー。クリスマスから新年って、みんなハメ外すよねー。

おせんべをぺりんとかじりながらなんとなく頷いてしまう。

「そうなのですよー。昔100人単位で連行した時はボーナスくれたのですが今は厳しくて。一回に連行できる数が制限されるようになりました」

ウチらはサンマか何かなのかな?

悪魔たちからしてみたら減りすぎでも困るという意味で漁をしているのと変わらないのかも知れない。

…受け入れてはいけない事だよね、戻ってこないと。

宿主やどぬち殿、間引きは必要なのですよ…」

いつの間にか後ろに立っていた狐の声掛けに身体をのけ反らせた。

「世の中には救いようのない生き物もいます、引導を渡ちてあげるのも必要んぁ」

「うしろから、急に、声かけない!びっくりするでしょ」

思わず狐の頬を引っ張って横に伸ばす。

「出来ましたー!試し押しです」

悪魔がイモにインクを付けて紙に押す。

そのイモ版には悪魔と狐、クモとうぱ、そして私が彫られていた。

こういうマメなところが可愛いのよね。

「私がいませんがっ」

畳から顔を出す羊。

そりゃ羊のことなんて彫らないでしょ…。

「…あっ」

そのリアクションで羊が見せた虚無の表情は忘れられないだろう。


ウチには羊がいる。

忘れられてガチへこみしている、羊が。

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