悪魔がウチにおりまして・747
ウチにはうぱがいる。
何を言っているのか分からないうぱるぱが。
「うぱ、ご飯に砂糖はやめて」
「うぱっ!?」
先ほどから私のご飯にしゃんしゃんと砂糖を振っているうぱ。
この子は毛玉と違い、何を言っているのか分からない。
だけどうぱは危害を加えてこないという信頼がある。
信頼していたのだけれど。
「ニンゲンもです?ボクのご飯にもお砂糖かけてくれているのです」
悪魔は自分のご飯に塩をかけながら中和して……できないからね?
「ニンゲン、魔法の粉は砂糖と塩を混ぜたものらしいですよ」
お煎餅の秘密なんて知りません。
「ニンゲン、サトウトシオさんは調味料ってあだ名が付くそうですよ」
全国のトシオさんに謝ろうか?
「ニンゲンさん、今日のご飯甘いですねぇ」
牛がコメを食べながら顔をしかめる。
「うぱがお砂糖かけてるの」
「あぁ、そういう」
牛は納得したように箸を進めた。
「牛さん、ご飯甘くても良いです?」
悪魔は胡椒を振りかけながら尋ねる。
味覚めちゃくちゃになるよ?
「うぱさん、世界の流れに敏感ですから」
それだけ言うと牛は味噌汁をかけて中和している。
「……まだ甘いってすごいですね」
出来てなかったようだ。じゃなくて。
「世界がどうにかなってるの?」
牛はざばざばとご飯を食べながら首を傾げる。
「ニンゲンさん、強いんだか弱いんだかわからんですな。今世界的に異次元移動が起きているので、その疲労を埋めてくれてるんですよ」
訳のわからない単語が出てきたわねぇ。
牛の頭に乗って撫でているところを見ると合っているらしい。
「私、別に疲れてないけど」
「ボクもですー!」
悪魔、砂糖・塩・胡椒にしょうゆを追加。
「私もですよ。だからうぱさんが埋めてくれてるんです。気付かぬうちに衰弱とか笑えないですからねぇ」
なぜか頭に浮かんだのは白骨化した悪魔。
……うん、骨になっても歩いている想像しか……。
ぽかりとうぱが頭を殴る。
「痛いなー、ダメよーそういうのは」
じっと私を見ている牛。
「たぶん、今考えていたのもかすめ取りでしょう。追っ払ってくれたので安心でしょうけど」
牛は味噌汁飯をすする。
そんな不思議な話をした気がする夕食でした。
ウチには悪魔がいる。
「このご飯マズいです!」
自分でかけたんだから、残さず食べなさいねー。




