悪魔がウチにおりまして・744
ウチには悪魔がいる。
無言でゲームをしている悪魔が。
さっきから悪魔がずっとやっているゲームの名前は「戦慄戦場」
敵味方入り乱れる戦場に怨霊が紛れ込み、味方は陣地へ、敵は狙撃、怨霊はお祓いするという、今話題の……なんていうモノが話題になっているんだ、今の世の中。
そんなゲームを黙々と進め、怨霊を祓い続ける悪魔。
言葉にするとシュール。
「ニンゲン、なぜこのような物があるのでしょう?」
それは誰かが創ったからだよ。
「違います。このゲームは非常にナンセンスです」
……ちょっと聞きたい!
「まずなぜニンゲンはホラーゲームをやるのでしょう?」
そこからかぁ。
「怖いもの見たさじゃない?」
「怖いものなら世の中にたくさんあります。戦争、貧困、格差……それなのになぜ霊を恐れるのでしょう」
悪魔さん、この小説のレベルに戻ってきて下さい。
「というか、なんで戦場に幽霊?そしてそんなん祓ってる場合です?」
ありがとう、戻って来てくれて。
「霊能者を戦場に出すくらいなら後衛に置いて司令を吹き飛ばすべきかと」
霊能者を魔法使いとかと勘違いしてません?
「幽霊が味方に紛れ込んだらややこしいでしょ?」
悪魔は幽霊を祓いながら大きく首を振る。
「幽霊程度にやられる兵士など不要です。憑りついて来た者の力を逆に取り込むくらいできて当然でしょう」
この子、人間の常識まだ覚えてくれないのかぁ。
「そっちの常識で創られてないの」
「それが酷いと言っているのですー。ボクらも楽しめるように創ってくれるのがクリエイターでしょう!」
まずクリエイターは悪魔がこっちにいるって知らないんじゃないかな。
「逆に悪魔がこの題材でゲーム創るならどうするのよ」
悪魔はポーズをかけてこちらに向き直る。
「よくぞ聞いてくれました!」
怖い怖い、そのキラキラした目が怖い。
「ボクもゲーム創りたいと思ってたのです!技術が無いので諦めましたけど、内容聞きます!?」
「聞かなくても良いけど、絶対落ち込んでなだめるの面倒だからなぁ」
聞くよー。
「ニンゲン、たぶん本音と建前が逆です。良いですか、ボクが創りたいゲームはですね……」
そこから7時間、ノンストップで話し続ける悪魔。
途中でココアを取ってきてる間もエンドレス。
「という超大作です!」
「ゴメン、それもうある」
「なんですとー!?」
ウチには悪魔がいる。
実際にやらせたらずっと泣いていた悪魔が。




