悪魔がウチにおりまして・735
ウチには悪魔がいる。
今日はなかなか起きてこない悪魔が。
「悪魔ー、朝ごはんどうするのー?」
ノックしても返事が無いのでドアを開けるとまだベッドの上で横になっている。
「起きてるー?」
「寝てますー」
寝てるのかい。
「それなら返事くら……い?」
文句を言おうとすると悪魔は目を閉じたままで返事をしている。
「……えっと」
「ニンゲンさん、マズいですへぶっ」
いきなり現れた羊に対して拳を飛ばしてしまった。
「あ、ゴメン」
「……今はとりあえずミミ君が先です」
鼻血を垂らしている羊は悪魔の様子を伺っている。
「悪魔、寝てるだけじゃないの?」
「寝てたら『寝てる』って言わなくないですか?」
ごもっとも。
いうて悪魔だから有り得るかなって。
「私たちのこと、なんだと思ってるんですか」
珍しく羊のトーンが低い。それだけ重大なのだろう。
「やはり……これはレムレム病にかかってますね」
……帰っていい?家だけど。
「一応詳細聞いておいた方がいい?」
「ご配慮どうも。レムレム病とは24時間365日10年ひと昔眠ってしまう病気でして」
1つことわざ混ざった余裕はあるのね。
「病気なの?それは」
ただ寝てしまうことが病気……でもずっとか。
「普通に起こすのは無理?」
「自分の力で起きてもらわないと。夢の間をさまよい続けることになります」
ぶん殴って起こすのはダメかぁ。
「要するに、自分で起きたいと思えば良いの?」
「そうです。でも難しいですよ。レムレム病はその観戦者の理想的な夢を見せます。だからそのまま衰弱してくのですが」
ご飯も食べられないならそれは大変だよね。
「仕方ないなぁ……羊。ミミ塞いでて」
「なんで?」
「良いから」
羊が耳に角を詰めるのを確認して大きくため息。
「悪魔、アンタが起きないと寂しい」
「天変地異ですー!!!……アレ?ニンゲン?」
「アンタがご飯食べないとフードロスが酷いの。早く食べなさい」
「……ニンゲン、今朝のご飯は何ですか?」
「明太卵焼き」
「……手抜きです」
嫌なら食べなくてよろしい。
ウチには悪魔が……。
「ニンゲンさん、良い話ですねぇ」
悪魔ー、この羊焼くよー!




